コンシューマー向けの「CPJ500」

UPS(無停電電源装置)とは、電力を蓄積する装置を内蔵し、接続した電子機器を給電するバックアップ電源機器だ。使い方はシンプルで、UPS本体を室内のコンセントに接続し、本体出力側のコンセントにPCなどの電子機器を接続する。こうしておくと例えば落雷など自然災害が発生するなど、予期せぬ停電時にしばらくの間給電することで、安全にシャットダウンができ、HDD内のデータを守ることができる。

UPSといえば、以前はサーバー用など業務用途の大型製品が中心だったが、いまではSOHOや一般家庭でも気軽に使えるコンパクトで手頃な価格のコンシューマー向け製品が注目を集めている。それはつまり、大事な電子機器やデータは自己責任で管理・保護しなければという意識が高まってきたためだろう。

●グローバル市場で注目を集めるサイバーパワー

コンシューマー向けUPSとして、バラエティ豊かなラインアップを展開するCyberPower(サイバーパワー)の製品を紹介しよう。サイバーパワーは台湾に拠点を構えるUPSのグローバルブランドだ。

長年に渡って優秀なUPS製品を開発・販売してきた実績をベースに、最近では省エネやエコロジーの要素を巧みに取り込んだ「GreenPower UPS」の展開が世界から高い評価を受けている。その製品は独自のバイパス回路設計により、通常のUPSと変わらない使い勝手でありながら、本体駆動時のエネルギー消耗を最大で75%も低く抑えることができる点が大きな強みだ。

電源関連の製品は安全性が購入時のキーポイントになるものだが、サイバーパワーの製品はすべてISO14001認証を取得した製造施設でつくられていることも明記しておきたい。

●人気のコンパクトモデル「CPJ500」

サイバーパワーのコンシューマー向けモデルで、エントリー機に位置づけられる「CPJ500」は数々の特徴を持つ人気モデルだ。自宅、オフィスのデスクトップまわりの小さなスペースに設置できるコンパクトな筐体に、タワー型PCを始め液晶モニタ、外付けHDDやWi-Fiルータなど、周辺機器一式の電源をカバーできる500VA/300Wの出力を備え、停電時には安全にシャットダウンするために十分な間、接続機器に給電できる。1万7000円(税別定価)というリーズナブルな価格も、「初めてのUPS」として多くのユーザーに選ばれている理由だ。

本体に全6口の出力コンセントを装備しているので、電源タップ代わりとしても利用できる。さらに、全ての出力コンセントに、停電時のバッテリ給電機能だけでなく、雷サージ(落雷による電源異常)を原因とする障害から守る保護機能が付いている。これから雷の季節を迎える上で、必要かつ最小限の投資で、停電や雷から保護するにはうってつけの機種と言える。

●イマドキのPCに合わせて「正弦波出力」に対応

「CPJ500」はさらに、商用電源として最も一般的な「正弦波出力」に対応する。従来は、小型で安価なUPSといえば「矩形波出力」のものが一般的だったが、今ではコンシューマー向けにも正弦波出力の安価なUPS製品が多く出回っている。サイバーパワーも、この正弦波出力に対応するUPSのラインアップを強化してきた。現在、PCやNAS(ネットワークHDD)の多くは、PFC電源と呼ばれる高周波電流による電源ノイズを抑えるための力率改善回路を内蔵している。このPFC電源が正弦波入力のみをサポートしているため、それらをバックアップするUPSも、正弦波出力モデルが増えてきている。

「CPJ500」が内蔵するバッテリは約8時間でフル充電になる。サイバーパワーでは長寿命バッテリを採用しており、その寿命はおよそ6年だ。ただし、長く使い込んだり、充放電回数が多くなってくると、バッテリ自体も消耗してくるのは致し方ないところ。そんな時にはユーザー自身でバッテリが交換できるようになっているので、「CPJ500」を中心に長く使えるバックアップ環境が構築できる。

もう一つ、「CPJ500」の特徴を語る上で欠かせないのが、本体の動作状態をフロントパネルに表示するLCDディスプレイだ。バッテリの故障や劣化、本体の接触不良などのステータスが“見える化”できるので安心だし、メンテナンス性にも優れている。もし故障が見つかっても、本体には36か月(3年間)保証がついているから安心だ。

サイバーパワーのUPS製品にバンドルされる「PowerPanel Personal Edition」は、UPSのステータスを監視し、万が一のトラブルが発生した際には接続機器を保護しながら自動シャットダウンまで安全に誘導するソフトウェアだ。最新のWindows 10のサポートにも抜かりはない。サイバーパワーのWebサイトから無料でダウンロードできて、正しく使うためのユーザーマニュアルも完備している。

これだけさまざまな機能を備えながら、UPS初心者でも手軽に使えるシンプルさが「CPJ500」の一番の魅力だといえる。本体もコンパクトなので、法人個人を問わず、PC周りの限られたスペースを無駄に占有することなく、気軽にUPSを導入して最大級のデータ保護効果が得られる。

また、バックアップ機能が備わったのは良いのだけれど、UPSの運転時のノイズに悩まされた、という経験を持つユーザーもいるだろう。「CPJ500」は非常に静音性が高く、静かな環境で作業したい時にもノイズが邪魔にならないという点でも、ユーザーフレンドリーな機種といえる。

まもなく夏本番がやってくる。今年の夏は天候の移り変わりが激しいといわれている。もちろん、大きな災害は起きないことが一番よいのだが、いざという時のために大切なPCやデジタルデータの保護には万全の構えで望みたい。

また、突然の停電の原因になるのは自然災害ばかりではない。夏は冷房器具や冷蔵庫などがフル回転する時期なので、思いがけず自宅の電気を使い過ぎて安全ブレーカーが落ちてしまうこともありえる。うっかりミスで大事なデータを飛ばして涙……、なんてことが起きないようにUPSの導入を本気で検討してみてはいかがだろうか。(オーディオ・ビジュアルライター 山本 敦)