『東のエデン』、『攻殻機動隊 S.A.C』シリーズの神山健治監督の最新作『009 RE:CYBORG』が10月27日(土)に公開されるが、それに先がけて全国の劇場で短編映像『009 RE:CYBORG ミッドレポート』が上映されている。映画の内容に関連しているという本映像に隠された謎とは? 撮影現場に潜入した。
『009 RE:CYBORG』は、石ノ森章太郎の傑作漫画を基にした作品。2013年を舞台に、それぞれが異なった特殊能力を持った9人のサイボーグの活躍を描いているが、『…ミッドレポート』の主人公は彼らの行方を追って取材活動を続ける外国人ジャーナリストだ。彼は2013年1月から世界各国で勃発している同時多発爆破事件を前に、姿を現そうとしない9人の行方を追っている。彼らはベトナム戦争や東西冷戦、中東紛争などの陰で働き、世界を滅亡の淵から救ってきた。9人は今、何をしているのか? 世界が再び未曾有の危機に瀕しているのになぜ、彼らは動こうとしないのか?2分強の映像に映画本編の映像はなく、撮りおろしの実写映像とCGで構成されている。
撮影が行われたのは、3月末。都内のスタジオにはマンションの一室のセットが組まれ、壁や机に『…RE:CYBORG』のヒントだと思われる写真や画像、手書きのメモ、オブジェなどが飾りこまれた。映像演出はCMやミュージックビデオを多く手がけている浅井健氏が担当。神山監督のTVアニメ『攻殻機動隊 S.A.C.』のオープニング映像演出も務めた才人で、神山健治監督自らが陣頭指揮をとり、予告編でも、CMでもない短編映像が完成した。
神山監督は本映像を製作するにあたり「通常の映画予告編であれば完成した映像をつないでいきますが、製作発表の段階で4分の映像をお見せしたので、次は違う方法でインパクトのあるものを見せたいと思った」という。確かに第一弾の予告編は、セル画の質感と3DCGが融合した斬新な映像に目を奪われたが、『… ミッドレポート』では、映画が描く世界観と謎に興味がわく内容に仕上がっている。ちなみに『…RE:CYBORG』の舞台は2013年。石ノ森氏の原作が描いていた世界から40余年が経過している。この間に世界は東西冷戦の終焉を迎え、さらに国家や民族の枠では捉えきれない紛争やテロを体験することになった。「映画は、00ナンバーサイボーグたちの現在と未来を描く作品になります。でも、彼らは70年代に活躍して、原作の連載が終わった後から今まで、どこで何をしていたのか? 映画の中でも少しふれていますが、さらにイメージをふくらませてもらうための“説明書がわり”として、短編映像を作ったつもりです。ですからこの映像もひとつの作品になればいいかなと思いますし、原作と映画の“ミッシングリンク”を埋めてくれるブリッジになっていると思います」。
本映像は現在、映画公式サイトでも公開されている。
『009 RE:CYBORG』
10月27日(土)公開