勘三郎に「待ってました!」の声 『平成中村座』が浅草で開幕!

2011.11.2 17:10配信
『平成中村座』一番太鼓の前にて 中村勘三郎 『平成中村座』一番太鼓の前にて 中村勘三郎

ほぼ毎年異なる土地に仮設劇場を設え、江戸時代の芝居小屋の熱気を感じてもらおうと、中村勘三郎を中心に公演を行ってきた平成中村座。今回は12年目にして旗揚げの地であると同時に、江戸時代の中村座が隆盛を誇っていた猿若町にほど近い浅草に帰ってきた。さらに話題のスカイツリーも目の前で、“伝統”と“いま”を併せ持つ平成中村座にはぴったりのロケーション。勘三郎や中村勘太郎、中村七之助ら中村屋ファミリーはもちろん、それぞれの月に看板役者を迎えて来年5月まで贈る本公演。11月1日の初日は勘三郎が病気療養を乗り越えての東京復帰でもあり、場内はこの日を待ちわびた観客で埋め尽くされた。

『平成中村座』チケット情報

今月の演目は、昼が『双蝶々曲輪日記 角力場』『お祭り』『義経千本桜 渡海屋/大物浦』、夜が『猿若江戸の初櫓』『伊賀越道中双六 沼津』『弁天娘女男白浪』。まずは昼の部、勘三郎演じる鳶頭がイナセに踊る『お祭り』に注目だ。いよいよ勘三郎が登場すると、客席から「待ってました!」の声がかかり「待っていたとはありがたい」とお決まりのやりとりが。鳴り止まない拍手のなか、江戸の男の粋や愛嬌、色気をたっぷりとふくんで踊る勘三郎。ラストにはなんと後ろの扉が開け放たれ、真後ろにそびえ立つスカイツリーが出現! 客席から大きなどよめきが起こった。さらに『渡海屋/大物浦』では、碇を担いで入水する平知盛役の片岡仁左衛門がさすがの風格。大関の濡髪長五郎(中村橋之助)と幕下力士・放駒長吉(勘太郎)の睨み合いがコミカルな『角力場』など、それぞれに見どころ満載だ。

夜の部で見逃せないのは、やはり『沼津』。生き別れの親子、雲助の平作(勘三郎)と呉服屋十兵衛(仁左衛門)が偶然出会い、客席を街道に見立てて歩きながらのアドリブも楽しい前半から、哀しい別れを選ぶラストまで細やかな芝居が続く。貧乏暮らしながら心を尽くして客人をもてなす平作の素朴な温かさ、洗練された商人だが言動の端々に優しさをにじませる十兵衛など、勘三郎と仁左衛門ならではの造形が胸に迫る。他にも初世勘三郎が芝居小屋の櫓を上げるまでを綴る『猿若江戸の初櫓』、女装の盗賊・弁天小僧を七之助が少年らしさを残しつつ艶やかに、南郷力丸を勘太郎が男くささを漂わせて演じる『弁天娘女男白浪』など、理屈抜きに楽しめる演目ばかり。藁の匂いや着物の衣擦れの音など、舞台と客席が近いからこそ得られる感覚も貴重。まさに歌舞伎の醍醐味をまるごと味わえる機会といえるだろう。

取材・文 佐藤さくら

11月興行は11月26日(土)まで上演。その後2012年5月まで、ひと月ごとに演目を変えて公演が行われる。チケットは12月興行まで発売中。

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