死ぬ前に絶対にやっておきたいことは?

――大助はひろ美ちゃんとキスもしていないのに死ねるか!って思いますけど、神木さんが死ぬ前に絶対にやっておきたいことは?

「もし、いまこの瞬間に“地獄に堕ちる”と言われたら、自分の部屋に掃除機をかけたいと思います。

汚くはないのですが、ちらかっているものを片付けたいなと思っているので、それが心残りになるのはイヤです」

――こういう役をまだやっていないから死ねない、みたいな演技に関わる部分では?

「社会人……会社員の役を演じてみたいです。

就活をする役や工場で働く役は演じたことがあるのですが、社会人2年目のような役は演じたことがないので、宮藤さんからそのような役をいただけないかな(笑)。

後輩には調子にのって暴言を吐くのですが、上司の前ではヘコヘコしている少しズルい社会人の役で、コメディを演じてみたいなってすごく思います」

――体験していないことで、これだけは絶対に体験しておきたいことは?

「いつか主演男優賞を取ってみたいです。俳優としての夢です。

特に“主演”という名目がつく賞を取るのが夢です」

――仕事以外では?

「スカイダイビングをやってみたいです。

高いところは怖いけれど、なかなかできないことなので。そう思うと、いろいろ出てきます。

ハワイの山の上で星を見てみたいというのもあるし、でも、どうせ地獄に堕ちるなら、なかなかやれないことをしたいです。心が大きくなりそうです(笑)」

――これまでの仕事の中で、いちばん“地獄”だったことはなんですか?

「僕、寒いのが本当に苦手なのですが、冬に夏の設定の撮影をするときは“地獄”だと思います。

ずっと寒がりなのですが、特に小学生のころは短パンに半袖にならなければいけなかったし、それが本当に“地獄”でした。震えるからセリフも言えないし、まともにお芝居ができなくなってくるんです。

最近も、入江悠監督の『太陽』(16)を真冬の秩父でロケをしたときに、あまりにも寒すぎたので、ガタガタと震えながら芝居をしていて、あれは本当に“地獄”でした。

それだけに、暖房のついた部屋に入ったり、スタッフさんがお湯をもってきてくださったときは“天国”だなと思いました。熱いのはいいのですが、寒いのが少し苦手なので、そこだけはダメです」

――お芝居で過酷だな~と思うことは?

「あんまり過酷だと思うことはないです。逆に“やってやろう!”って思います。

それこそ『るろうに剣心』のときは、大友啓史監督の“よーい、はい”という声でいきなり始まってしまう現場で、壮絶な役でもあったのですが、それでも“やってやろう!”と思いました。

今回も“人が思いつかないようなことをやりたいな、やってやろう!”という気持ちでしたし、芝居に関してはすごく燃えるので、やはり好きなんでしょうね」

生まれ変わっても、また俳優になりたい?

――今回の映画には死者が蘇るエピソードも出てきますが、神木さんはそういうスピリチュアル的なことは信じる方ですか?

「信じます。靴下をいつもは右から履くのに、左から履いてしまったときに気持ち悪いなと思ったり、そういう小さな験担ぎのようなことも信じます。

僕は右利きなのですが、いつも左から履かないと気持ちが悪くて。風水なども信じる方で、“玄関にコレを置くと運気が上がるらしいよ”と聞くと、置いてみようと思います」

――最後の質問です。生まれ変わっても、また俳優になりたいですか?

「なりたくないです!(きっぱり)僕は、次は物理学者になってノーベル賞を取りたい。

バイオリンが弾けて、ピアノも弾けて、モテる物理学者に絶対になります。福山雅治さんの『ガリレオ』(07~13)みたいですけどね(笑)」

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劇中では、キラーK役の長瀬智也とのボケとツッコミのトーク合戦で観る者の笑いを誘い、猛特訓したギタープレイも炸裂させる神木隆之介さん。

そんな彼の演技力、身体能力、魅力が全開した『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』で、あなたも最高に楽しい“地獄”を体験してみてください。

 

 

映画ライター。独自の輝きを放つ新進の女優と新しい才能を発見することに至福の喜びを感じている。キネマ旬報、日本映画magazine、T.東京ウォーカーなどで執筆。休みの日は温泉(特に秘湯)や銭湯、安くて美味しいレストラン、酒場を求めて旅に出ることが多い。店主やシェフと話すのも最近は楽しみ。