育児中、何か将来のために備えたい、と考えるママにとって、英語や資格試験などの何らかの勉強も一つの手段といえます。

とはいえ、こんなに大忙しの中、どうやって勉強するの? と疑問に思っている方はいませんか?

そこで育児中に大学院の修士課程を修了した、現・PRコンサルタントで1児のママである井上千絵さんに、子育て中のスキマ勉強術を伺いました

育児中、いつ、どんなときに勉強時間を確保していた?

井上さんは、育児中に大学院に通い、修士の学位を取得。いつ、どんなときに通学、勉強の時間を確保していたのでしょうか?

井上千絵さん(以下、井上)「もともと会社員としてテレビ局に勤務していたのですが、出産後に退職し、娘が生後10ヶ月の時に慶應大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)に入学しました。娘は私の入学と同時に保育園に通い始めたので、『娘が保育園にいる時間=私の勉強時間』となりました。

といっても、入学直後は特に大変で、娘の慣らし保育期間も、私は9:00から18:00までみっちり授業が入り、さらにグループワークなど課題のために夜まで大学院に残ることも多々…。そんなときは、実母や夫の協力あってこそ、乗り越えられたと思っています」

寝不足にならないの!?

育児中はただでさえ寝不足になりやすいところがありますが、寝不足の中でも勉強していたのか、気になるところです。

井上さん「完全に寝不足でした。特に入学した年は、娘がまだ1歳を迎える前だったので 夜も授乳で何度か起きる生活が続いていました。日中も授業があり、もちろんお昼寝はできないですし、夜も課題を終えて遅くに寝ることになり、まさに寝不足になるパターンでした。

入学して1ヶ月ほどで、夜の授乳に体力の限界を感じ、娘もちょうど1歳を迎えた月だったので断乳を決意しました。娘も断乳の際は、驚くほどあっさりバイバイだったので、それからは体力的にも少し楽になった気がしています」

育児中の勉強時間の確保のポイント5つ

そこで、ぜひ井上さんに伺いたいのが、勉強時間確保のポイント。

井上さんは、「『勉強時間を確保しよう』と意気込むと、自分を苦しめてしまうことになりかねません。ママが一番大好きな時期の子どもと日々向き合いながらの学生生活は、時間があるわけがないんです(笑)。その前提の上で、私が考えるポイントをお伝えしたいと思います」と話し、ポイントを5つ教えてくれました。

1.保育園をはじめ、周りをたくさん頼り、一人で抱え込まないこと

井上「周りの協力なくては、間違いなく卒業できなかったと思います。大学院での研究生活は仕事と異なり、定時で終わるようなものではありません。

だからこそ、正直なところ保育園だけでは到底、学業は成立しなかったと思います。各家庭の環境にもよると思いますが、私の場合は実母、夫、そして時にはベビーシッターさんにもお願いしながら研究の時間を確保していました」

2. 先生や同級生の理解を得ること

井上「20代の学生と圧倒的に違うことが『タイムマネジメント』だと思います。子育て中の私は、何が何でも18時に保育園のお迎えというリミットがあり、それまでに研究を一旦切り上げなくてはいけない。

そんな中でグループワークが非常に多い研究科だったので、私だけ先にその場を離れることに、当初は引け目がありました。

ただ、20代の学生であっても、そこは心のある人間です。

例えば『今日、娘が初めて歩けるようになってね~』など言って写真を見せるなど、私が子育て中の立場であることを、日頃から日常会話で意図して出してみたり、時に許されている場面では、研究に娘を同伴したりもしていました。

そうすることで、『井上さんは子育てしながら研究している人』という認知が自然に広がり、自分自身もラクになった気がします」

3.自分の貢献範囲を明確にし、コミットすること

井上「2からつながっていくところなのですが、子育て中で勉強時間がない、というのは、時に言い訳のように聞こえてしまうこともあるものです。主にグループワークでのことになるのですが、私が心がけていたのは、『自分の貢献領域を示すこと』でした。

すべての時間を一緒に立ち会うことはできないけれど、この部分は私にまかせてもらえれば、しっかりやっておくよ、というところを示すこと。

コミット(責任を持って公約・約束すること)したところをしっかりアウトプットすることで、グループの中で信頼関係が育まれていくのを感じました。時間がないからこそ、時間で勝負しない研究生活だったと思います」