ギャラの受取日だけは、なぜトリオにしたんだろうと……

東京03 DVD『時間に解決させないで』の模様

――東京03が結成されて間もなく13年となりますが、トリオになって良かったと思うことは?

飯塚「ポジションがひとつ増えたことで、ネタが書きやすくなりました。他との差別化が図りやすくなったというか。例えば病院という設定でも、コンビだと基本的に医者と患者の組み合わせになって、展開が似通って来るんですよね。でももうひとりいることで、見たことのないようなネタを作れるんです」

――逆に「ひとり多いな」と思ったことはあるんですか?

飯塚「ありますよ。そういう時は豊本に終盤になってから出てきてもらって、“だっふんだ”的なことを言ってもらいます」

角田「“的な”ですよ、もろ“だっふんだ”じゃないですよ(笑)」

豊本「さすがにもろはね(笑)」

東京03 DVD『時間に解決させないで』の模様

――3人になって、苦労したことは?

飯塚「やっぱり、お金です。今でこそ慣れましたけど、もともとは僕と豊本のコンビだったから、角ちゃんが加入したての頃の、ギャラの受取日ね。当時、ギャラは事務所で手渡しだったんですよ。その日だけは、“なんで入れちゃったんだろ”と思ってましたね」

豊本「明細を見て、角ちゃんをチラッと見るという、ね(笑)」

角田「“ああ、見てるな”と思ってたよ(笑)。僕はこの前に組んでいたのもトリオだったから、逆に以前より額が増えていて“やったね”くらいだったのに」

飯塚「またリアルな数字だったんだよ! 角ちゃんさえいなければバイトせずにすんだのに、みたいな額で(笑)」

漫才はカッコイイと思うけど、できる気がしない

東京03 DVD『時間に解決させないで』の模様

――さらに東京03と言えばコント一筋ですが、他のネタに浮気しようとは思わなかったんですか?

飯塚「東京03を組む直前まで、僕は芸人を辞めようと思っていたんです。だから新たに結成しても、今までやってきたコントに自然となりました。漫才って作ったことないし、難しそうだし、テンポや掛け合いの技術もいりそうだし。コントはお芝居ですから、“技術”って感じじゃないなと。ダメだったら辞めちゃう覚悟でやっていたので、ズルズルここまで来た感じです」

豊本「僕も漫才をやったことないし、コント楽しいし」

角田「僕はお笑い番組をあまり見たことがないまま芸人になったので、漫才という発想がなかったです。この世界に入ってから漫才を見て“カッコイイな”とは思ったけど、できる気がしないですね」

――じゃあ、今後も漫才に浮気することはないのでしょうか。

飯塚「やってみたいけど、できないでしょうね。何から作っていいのか、とっかかりがわかりませんもん。台本に“はい、どーもー”って書くのか、そこからわからないですから(笑)」

――そして結成13年という長期間、関係を円満につないできた秘訣を教えてもらえますか。

角田「円満にしているつもりは、僕は一切ないです。他のメンバーが、円滑に進めてくれているんだと思います。ありがたいことですよ。最近、やっと感謝の念を抱くようになりました(笑)」

豊本「僕も、あまり心がけていることはないので……」

角田「全て、飯塚さんのおかげですよ!」

飯塚「でもね、同じ目標があるからだと思います。次のライブで面白いネタをやるとか、そういう目標のために何をしていくかだから。ただただ仲良くし続けるのは、しんどいと思いますよ。この3人、ライブとかやっていなかったら絶対、友達じゃないし」

豊本・角田 (深くうなずく)

――では、今の大きな目標とは?

飯塚「単独ライブだけで、1年の生計が立てられるようになることですね」

 

東京03
ライブDVD『第17回東京03単独公演「時間に解決させないで」』
4,104円(税込) 7月6日発売

新潟県出身。夕刊紙の野球記者を経てアイドル誌のお笑いページを担当、お笑い専門誌の立ち上げなどに関わる。『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)『情報エクスプレス』にて『しのぴーのお笑い芸人百花繚乱』連載中。その他『Rolling Stone日本版』『JUNON』『楽天 すっぴんショッピング』などに寄稿。携わったお笑い関連の近著に『ニッチェ 江上敬子のダンナヤセごはん』(KADOKAWA/インタビュー) 、『日本のみなさんにお伝えしたい48のWhy』(ぴあ書籍/構成)など。