『ブルックリン』 (C)2015 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

本年度のアカデミー賞で作品賞、主演女優賞、脚色賞の主要3部門にノミネートされたシアーシャ・ローナン主演作『ブルックリン』の特別映像が公開になった。ジョン・クローリー監督と出演者のジュリー・ウォルターズが作品の背景やテーマについて語った観賞前の予習に最適な映像だ。

公開された特別映像

本作は、家族のいるアイルランドを離れ、ニューヨークのブルックリンで暮らしはじめたエイリシュが、今までとは違う文化や生活に戸惑いながらも、変わっていく様を描いたヒューマンドラマ。アメリカは夢を抱いてやってきた移民によって成長し、新たな世代を生み出してきた国で、劇中で主人公エイリッシュの暮らす寮の寮母を演じたウォルターズもアイルランド系イギリス人だ。新天地アメリカにやってきた人々を描いた作品はこれまでも数多く存在するが、本作は主人公を若い女性に設定し、その親世代の想いや、劇中で彼女がアメリカから一度、故郷に戻る展開などを入れることで、これまでにないドラマを描き出している。さらに映像で、監督とウォルターズは、移民の数だけ、アメリカを目指す動機があり、孤独があり、問題があるという。映画はひとりの女性が主人公だが、その背後には、制作者たちの移民たちへの敬意や誠実な想いがあるようだ。

その一方で、映画は現代にも通ずる心情の変化やドラマを描いており、主人公が新しい環境の中で自分で未来を選択するドラマは、多くの共感を集めそうだ。クローリー監督は別のインタビューで「歴史のレッスンのようにはしたくなかったから、時代背景を決め込んだあとはそこまで気にしないで作ったが、20世紀のアメリカを築いた人々の話であると同時にひとりの少女の成長を観てほしい」と語っている。

『ブルックリン』
7月1日(金) TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー