夜7時半。モチコにレナにまんまるにクマにいんちゃんに。
今夜の飲み友を得るべく手当たり次第誘ってみるも、
見事全員にことわられるというスーパーロンリー状態のなか、
中央線に揺られながらふと思う。
断られたときのリアクションがむずかしい。
「いーのいーのデートかよ、くのくのくのぅ~」
ふだんみせることのないおどけた己の物言いが思い返すごといたましい。
こんなときのツイッターではないかと『今から一人立飲みナウ』と
「ナウ」の使い方からして明かに不慣れな感じでつぶやけど、
「お、どこでどこで?」などとかぶせてくれる気さくな友愛は一切見当たらず、
どうでもいい鳩山の顔なんか思い出し、
左手に握りしめたスマホをガンミしたまま、
目当ての店の前に着いてしまったナウ。
しかしアレだ。近年の私はオッサンみたいな頑固さでもって、
「飲みたい日に飲みたい酒場に行く」ことを曲げられない。
その昔は一人縄のれんをくぐるのに相当な勇気がいった。
モジモジとハニカミでぐるぐるの伊達巻き状態になり、
窒息しそうなやばい顔で敷居をまたいだものだ。
心がオッサンと同化しつつある近年、どうもハニカミが足らなくなった。
ハニカミは人生にとって重要だ。
部長との間に1ハニカミ。家族との間にも半ハニカミ。恋人との間に3ハニカミ。
ほら想像してごらん、ハニカミがあるだけでずっと人間関係はプリティになる。

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