六本木ヒルズで開催されている『ONE PIECE展』が、大きな人気を呼んでいる。
全国からファンが集まる本展覧会から、最強マンガのヒットの理由を考察する。

作者、作品、読者の理想的な三位一体の関係

日本史上、最も売れているマンガ『ONE PIECE』。その記録的な数字は、同作の新作が出るたびに更新される。海外でのアニメ放送も人気が高まっているので、ニッポンの国民的マンガが、世界的名作になる日も近い。
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コミックス最新刊65巻の発行部数は、日本記録の初版400万部。さらに1巻からの累計発行部数は、2億6000万部を突破。いま、これだけ桁外れの数字が見合い、また似合う作品もない。尾田栄一郎の『ONE PIECE』。海賊王を目指して、仲間とともに旅する主人公ルフィ、物語自体とそれがもたらす感動のスケールも桁外れだ。それが数字に還元されてもいれば、数字に換算できない熱気も生んでいる。
   
今年3月20日より、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開催中の『尾田栄一郎監修 ONE PIECE展~原画×映像×体感のワンピース』。4月6日で早くも来場者10万人突破と、驚異の動員力を見せているが、目を見張るのは来場者の層の厚さだ。冒険パノラマシアターの映像上映では、子どもたちの歓声が起こり、原画の巨大パネルを立体展示したグラフィックアートでは、ルフィと兄エースの別れに、中年男性が「ヤバイ!」と声を上げる。その後、ルフィが立ち直るまでを映像として構成した仲間シアターでは、若い女性連れがハンカチで目頭を押さえている。