岩井秀人の妄想ペルソナ ~検索するヒトビト~

【3年 恋 冷める】【3年後の恋】岩井秀人「ネットの検索ワードから、社会のフンイキを見る」

今回取り上げる検索ワードは、男にとってはちょっと耳が痛い話!? 舞台演出家・脚本家として知られる岩井秀人が、ウレぴあ総研の「上位検索ワード」を元に、どんな人たちが日々、ネット検索しているのか?を妄想。ペルソナ像を思い描いてみました。

さて、今月も検索ワードランキング上位から気になるワードを捉えてあーだこーだ言いましょ!

ペルソナとは
製品やサービスを作る際に描く、架空の人物像のこと。年齢、職業、居住地だけではなく、趣味・嗜好、休日のすごし方、Web・ソーシャルでの行動などを細かく設定することで、効果的なマーケティング・販売戦略を決めることができます。

 

検索ワード1「3年 恋 冷める」

これほんと、男はちょっと耳が痛いかもしれないですよね~。

こと「恋」となると、特に期間限定なのではないでしょうか。

僕は結婚をしておりまして、9歳になる子供もいるのですが、子供がいなかったら結婚してなかっただろうし、結婚してなかったら今の奥様と続いていたかどうか、全く分かりません。

あ、決して仲が悪い訳でもなんでもなくて、ウルトラ円満な訳ですが、それでもよく妻と「娘が生まれてなかったらどうなってたんだろうねえ、ほんとうにありがたいですよ」なんて話を、汗だくでお腹出して寝てる娘を見ながら話したりする訳です。

つきあって一年で「子供作ってみっぺか」なんて気楽に言って、実際に子供が出来たから「そしたら結婚しようけ」なんつってほんとに結婚して今にいたるという、なんともユルユルなスタートの我々夫婦なのですが、もし「恋愛」だったら耐えられなかった様なお互いの「違い」も、子供がいたから乗り越えられた部分も多くある気がします。

「ここで怒りを炸裂させても、お子にとって前進にならん~!」みたいな判断があったと思う。

僕の体感ですが、恋愛の時はそういった相手との違いの捉え方が「俺がやりたいこと」と「それに対しての相手の態度」みたいな、凄くシンプルな対立構造で、つまりは結局「相手の態度がどうであれ、俺のやりたいことを優先します!」だったのが、「俺がやりたいこと」と「相手の態度」はもちろんあるんだけど、そこに「お子」が入ったことで、「三人で落っこちたくない場所」みたいなゾーンが現れ、「僕と妻と、お子」のチームとして、その不幸から逃れるためには、ということを考える様になった、みたいなところがあります。

すいやせん、結婚のろけ、みたいになっちまいました!

結婚せずとも恋愛でもチーム戦で考えられれば、それはすんごい素敵なことだと思います!

検索ワード2「3年後の恋」

この「3年 恋 冷める」に続いてこれが来ると、なんとも味わい深いですな。

恋愛がこうして3年周期で燃えて冷めてを繰り返すのならば、常に「3年後の恋」を考えておくのも手ではありましょう。

私岩井、結婚して10年ほど経ちまして、そりゃあ40も越えればだいぶ落ち着きましたが、若かりしころは恋愛やエロいことばかり考えておりました。すみません、恋愛よりエロのことばっかり考えていました。エロです。

しかし恋愛と言うものは、ほんとに人を大きく動かしますな。

小学生の時は席替えのたびに好きな子の隣になるためにグーパージャンケンを執拗にやり直し、中学に入っても好きな娘と会いたいがために、嫌がる犬を連れてその娘の家のそばを徘徊し、いざその娘が現れてしまうと恥ずかしくて声もかけられずにいきなり犬に向かって「おすわり。」などと言って、しつけの真っ最中のフリなんぞしておりました。

その娘が中学の卒業時に僕に「ボタンをくれ~」なんて言ってきてくれたので、あまりの嬉しさに「もちろんどうぞ! そしてこれもどうぞ!」と学ランごと差し上げようとしたら「それはいいや」とあっさり断られました。

なつかしい思い出です。そういえばこういった思春期の恋愛のこと等を話す時に「甘酸っぱい思い出」という表現がありますが、僕はその表現がとても嫌いです。

特にこの表現をするのはオッサンが多いのですが、「甘酸っぱい」と感じるということはつまり、それを感じている人物は少なくとも口の中に唾液が溜まっている訳で、そんな「思い出しヨダレ」を表明するオッサンの気が知れない、と思います。

かつて吹石一恵さんのことを「あの子はホントに、果物(くだもの)みたいだな!」とまくしたてた武田鉄矢さんのアニマルさ加減を彷彿とさせます。

思春期の恋愛を思い出して「甘酸っぱい」っていうのは、ヨダレですよ。みなさま。

それはもう、エロいことを思い出してヨダレを溜めてるのと、なんら変わりがないということなので、なんとか「甘酸っぱい思い出」という表現がこの世からなくなってくれ、と思って止みません。

 

いわい・ひでと●1974年、東京都生まれ。15歳から20歳までを家にひきこもって過ごす。'03年ハイバイを旗揚げ、以来脚本家、演出家、俳優として活躍。'12年NHKBSプレミアムドラマ『生むと生まれるそれからのこと』で向田邦子賞、'13年『ある女』で岸田國士戯曲賞受賞。http://hi-bye.net

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