自分で迷子猫を探すコツ(捜索編)

ここからは、飼い主自身が迷子猫を探す方法について、プロのアドバイスを紹介していく。

まず、もっとも多いと思われる「完全室内飼いの猫が、閉め忘れた玄関や窓から脱走してしまった」ケースでの探し方。

室内飼いの猫を探す場合

外に出た経路付近の敷地内を目視で確認
→隣近所にチラシを配布
→近所を目視確認
→警察、動物愛護センターに連絡(人懐っこい性格の場合)

ちなみに警察へ連絡する理由は、猫を保護した人が拾得物として届けているかもしれないからだ。同様にけがをして動物愛護センターに収容されている場合もあるので、連絡は欠かせない。

「屋外に出たことのない猫であれば、建物敷地内など近いところにいることが多いです。外の世界に耐性がないので、じっとして周囲を観察している状態です。なので逃げた方向がわかる場合は、姿を消した先で猫が隠れそうな近辺の隙間を探すのがベストです」(白根さん)

続いて、「外飼いの猫がしばらく戻ってこず、失踪と判断した」ケースでの探し方。

外飼いの猫を探す場合

近辺にチラシを配布
→近辺を目視確認
→警察、動物愛護センターに連絡(人懐っこい性格の場合)
→保健所/清掃局に連絡

清掃局への問い合わせは最悪のケース(事故などで死亡して回収された場合)を想定している。いつも2~3日で帰ってくるはずの猫が帰ってこない場合、残念だが交通事故などにあっていることもあるそうだ。

一般的に成猫より子猫のほうが活動範囲が狭いため、捜しやすい。そして郊外・田舎と都市部では、都市部のほうが捜索難易度は低いという。

「道が広かったり車や人通りが多ければそこは通過していないと判断したり、家の区画がはっきりしていれば、潜んでいるエリアが絞りやすいです。また、都会であれば目撃情報も集まりやすいです。その反対に、山に逃げ込んだ猫を探すのはかなり難しいですね」(白根さん)

こうした「室内飼いと外飼いの違い」「成猫と子猫、都会と郊外の違い」などを意識しながら探せば、プロでなくてもある程度は効率的な捜索ができるだろう。

さらに白根さんは、プロならではの観点からアドバイスをくれた。

「猫の捜索は、その性格に合わせた適切な範囲で行なうことが大切です。たとえば臆病で活動範囲の狭い猫なのに、隣町までチラシを配ってしまうと、誤報が入ってきて混乱することもありますので」(同)

最近はTwitterなどのSNSでも「迷子猫の情報をください!」とメッセージを流すことができるが、上記と同じ理由で、白根さんは直接的な効果を疑問視している。

「完全室内飼いの猫の捜索範囲は半径約50~100メートルと大変狭いため、町内単位以下の情報共有でないと効果は薄いと思われます」(同)

こと室内飼いの猫に限っては、インターネットの「全国どこでも瞬時に情報が届く」メリットを活かしにくいようだ。むしろ限られた猫の行動範囲を、じっくり巡回して目視で探すことが発見への近道と言えるだろう。

「ただし、SNSで呼びかけることがまったく無意味とは思いません。直接的な保護につながる情報がなかったとしても、身近な友人知人の猫が行方不明になってなんとかしたいと思った経験から、ご自身の近所で猫を探しているチラシに協力しようという気持ちになる人が増えてくれるならば、ペット探偵業界としてはインターネットの効用があると考えます」(同)