バイきんぐ・小峠英二(左)、西村瑞樹(右)

男性ファンの比率が高い客層でもわかる通り、バイきんぐ毎夏恒例の単独ライブはお笑い好きにとって垂涎だ。本年公演も全て完売の安定感さえ感じられる彼らだが、それもそのはず、今年で結成20周年。

せっかくなので、この20年に関するテーマトークスタイルの取材を敢行してみた。もちろん、間もなく公演される単独ライブ『ハート』の話もお届けする。

「正直、そんなにドキドキするわけでもなく……(笑)」

バイきんぐの前に、10枚の封筒を置いた。封筒の中には「20年でいちばん恥ずかしかったことは?」などのテーマが書かれた紙が入っている。彼らに封筒を引いてもらい、そこに書かれたテーマについて語ってもらおうという企画だ。

当然、「話せません」という返答はNG。ちょっと珍しいスタイルの取材なので、始める前に心境を聞いてみた。

バイきんぐ・小峠英二(左)、西村瑞樹(右)

小峠「正直、そんなにドキドキするわけでもなく……(笑)。でも、まぁ楽しみです」

西村「部屋に入った瞬間から、“この封筒はなんだろう?”と、ずっと気になってました」

50歩くらい距離を置いたような感想だが、さてどんなエピソードが飛び出すのか。最初に彼らが引いたテーマはこちら。

<この20年でいちばん腹が立った人は誰?>

小峠「ある台湾ロケに同行したディレクターさんが、“仕事とプライベート合わせて訪台20回目”という台湾好きな人でした。待ち合わせの羽田空港から、ものすごくテンションが高くて。

現地に到着し、さてロケを始めようとなった時に、ありえないことなんですけど……、その人は浮かれすぎてピンマイクを忘れてきたんです。

とりあえず地元のテレビ局から借りることになり、1時間待たされてバイク便が到着したんですが、1個しか届かなくて。その人からの指示は“小峠さん、つけてください。西村さん、声大きめでしゃべってください”。あのディレクターさんには腹が立ちましたね」

西村「あんなに声が出なくなったロケは、最初で最後です(笑)。僕は基本的にあまり腹が立つことがなくて……」

小峠「オマエ、えらくイジッてくるイベンターのオッサンにムカついてただろ」

西村「あ〜、あれね」

小峠「営業の仕事で、僕らが楽屋に入ったらそのオッサンも一緒に入ってきて、なかなか出て行かない。ずっと話しかけられるから適当な対応をしていたら、“テレビと全然違いますね!”と言われて。ことあるごとにこのセリフが飛び出して、7〜8回は言われたんじゃないかな」

西村「小峠にテレビの感じでツッコんでほしかったんでしょう、やたらボケてくるんだよね。帰り際、同じイベントの前日に出演したじゅんいち・ダビッドソンから電話かかってきて、“あのイベンターさん、変じゃない?”って(笑)。アイツも思っていたのかと」

小峠「“ケータリングのお菓子、持って帰ってくださいよ”と勧められたけど、断ったんです。そうしたらオッサン、西村のカバンに皿ごとアメやチョコを勝手に入れて。ありえないでしょ。最後に“今日はありがとうございました”と、とても丁寧なおじぎをされたんですけど、いやいやその程度じゃ回収しきれないぞと(笑)」

西村「僕ら、途中で完全に心のシャッターを下ろしましたもん(笑)」

この20年でいちばんピンチだった瞬間は?

バイきんぐ・小峠英二(左)、西村瑞樹(右)

小峠「スペインへロケに行ったんですけど、目的は身長2メートル超え・体重250キロのヒグマと組体操をすること。僕らがクマの上に乗るんだろうと思っていたのに、クマが乗るというまさかのパターン。

“飼われているクマだから人には手を出さない”という話でしたが、組体操なんてしたことないから興奮しちゃって、僕らの背中をバンバン叩くんです。それもサバみたいなでかい爪で。

とんでもないパワーだけに“これはヤバいぞ”と思ったんですけど、ディレクターさんから“もうちょっと頑張って”という指示が飛んだのでなんとか耐え、組体操は成立しました。

ロケ終了後、着ていたつなぎを見たら背中がビリビリ。厚手の段ボールを3枚背中側に入れていたんですが、それも全部破れていました。もうちょっと長引いたら、ヤバかったかもしれません」

西村「今の事務所に入りたての頃、親交を深めるために僕らとテレビ局の人とマネージャーの4人で飲みに行ったんです。マネージャーが途中で“クレジットカードを渡しておくから、支払いをしておいて”と言い残し、帰ったんですね。

僕は“キャバクラ、行っちゃいましょうよ!”とテレビ局の人を誘い、そのカードで飲み食いしました。結果、マネージャーにブチギレられて、事務所をクビになりそうに(笑)。土下座して謝りましたよ!」