「金環日食は非常に美しく神秘的な天体ショーであり、日本列島の多くの地域で観測できるのは、実に932年ぶりという珍しさ。'09年、奄美地方などで起きた皆既日食も話題になりましたが、今回はエリアが限定的でなく、全国で楽しみを共有できるお祭り感があることがポイントでしょう」

小惑星探査機『はやぶさ』の帰還、コミック『宇宙兄弟』(講談社)の大ヒットなど、“宇宙ブーム”の追い風もあり、太陽観察専用メガネ『日食グラス』が付録についた『Newton 臨時増刊 金環日食2012』(3月28日刊行)は、書店に予約が殺到するほどの人気ぶり。この『日食グラス』自体も、現時点で130万枚を出荷しているそうだ。販売元であるビクセン企画部の都築泰久さんは、市場の拡大を実感していると言う。

「これまで『日食グラス』を扱うメーカーは弊社を含め数社ほどでしたが、今回は国産品のほか輸入販売業者が海外製品を大量に仕入れるようになっています。観測日が近づけばさらに需要が高まり、売り切れが続出する可能性もあるでしょう。弊社では、最終的に200万枚の販売を見込んでいます」

大手旅行会社JTBは、日本航空のチャーター便を利用し、天候に左右されない雲の上から金環日食を観察するツアーを企画。ワシントンホテルチェーンが部屋から日食を楽しむ宿泊プランを展開するなど、各社がビジネスチャンスを見出す中、実は6月以降も、大きな天文現象が控えている。

6月4日(月)には、月の3分の1が欠けて見える「部分月食」が、6月6日(水)には太陽の前を金星が通過する「金星の日面通過」が、日本で観測できる。

今年は大きな天文現象の当たり年。ブームに乗り遅れないよう、まずは金環日食の関連書籍で知識をつけ、日食グラスを用意しておきたい。