TVをつければCMが流れ、スマホを開けば広告が表示され……さまざまな場所で目にする『あんさんぶるスターズ!』の名前。

『あんさんぶるスターズ!』通称『あんスタ!』とは、若手アイドルたちを育成してトップを目指すアプリゲームの名前なのだ。

アプリは若い世代に大人気で、キャラクターソングなども多数発売されている人気作品なのだが……

その『あんスタ!』が舞台化するというので、これは見逃すわけにはいかないと、舞台初日に行われたゲネプロにお邪魔してきた。

フォトギャラリー『あんステ』の名場面を写真でじっくり見る
  • スバル(小澤廉)の前に100円玉をちらつかせて黙らせる北斗(山本一慶)。
  • 迫力の紅月ライブシーン。このライブがあまりにかっこよかったので、筆者は紅月の曲を購入した。
  • ド迫力のUNDEADライブシーン。そこはかとなくエロい。
  • 棺桶から出てくる朔間先輩(小南光司)の再現度が素晴らしかった。
  • 物語の進行役をも担ったKnightsの二人。嵐(北村諒)のベタベタを嫌がる泉(高崎翔太)がかわいかった……

『あんステ』とは?

『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』通称『あんステ』は、6月18日から26日までAiiA2.5 Theater Tokyoにて上演されていたが、千秋楽にはライブビューイングも行われて、大盛況だったという。

結論から言うと、本気で観に行って良かったと思わされた舞台だったし、キャストの魅力をこれほど実感できる舞台もなかなかないのではないかと思った。

話題の若手俳優たちが、キラキラのアイドルに扮して舞い踊る!

まずは今回の舞台での主人公となる・Trickstarたちの説明からさせていただこう。

Trickstarは作品の舞台である“私立夢ノ咲学院”の2年生で、明星スバル(小澤廉)、氷鷹北斗(山本一慶)、遊木真(松村泰一郎)、衣更真緒(谷水力)の4人からなるアイドルユニットだ。

Trickstarの個性

スバルはいつも明るくて(ちょっとおバカで)、キラキラしたものに目がない。

目標を定めたらそこに一直線に走って行ける突破力がある、天才肌の男の子だ。

そんな元気いっぱいなスバルを、小澤廉が元気いっぱいに演じていた。

場面場面で繰り出される小澤スマイルは殺人級の威力があった。

Trickstarのライブシーン。みんな汗だくになりながら全力のダンス!

北斗はメンバーのツッコミ役として奔走する真面目男子だが、真面目すぎて融通が利かない。

しかし誰よりもメンバーのことを考え、矢面に立ち、問題があれば解決に尽力する。

一座の中でもお兄さん肌でみんなのムードメーカー的な立場の山本一慶は、そんな氷鷹北斗にピッタリハマり役だったと思う。

真は元気なスバルと一緒にワイワイ騒ぐことが多いが、実は自分にあまり自信がなく、そんな自分をメガネの奥に隠している。

舞台役者としてはベテランな松村泰一郎の骨太なイメージからは想像できない役だったが、後半になるにつれて内なる闘志を表現していく繊細な演技が、しっかり舞台上に“ウッキ~”(スバルが真を呼ぶあだ名)を出現させていた。

“サリ~”こと真緒は生徒会でも活動する傍らTrickstarにも所属している世話焼きのしっかり者。

仲間たちに対する愛情のようなものが花開く後半の演技、そしてTrickstarのステージに立ったときの全開の笑顔が、若手注目株である谷水力によって全力で表現されていた。

こんな個性的すぎる面々が集うTrickstarを、もちろん個性的すぎるキャスト陣が演じているわけである。

その4人の個性がステージ上に集ったときの“ハッピー感”……なんと言ったらいいのか悩むが、ハッピーとしか言いようがない。

きっとこの4人なら誰にも負けない!という無敵感が、ステージから客席にひしひしと伝わってきてしまうのだ。それぞれの個性が、それぞれに輝いているTrickstarだからこそ、こんなに観ている人をハッピーにさせてしまうのだろうな、と思わされる。

他ユニットの魅力もスゴい

さて、他のメンツにも触れておかねばならないので続けさせていただく。

個人的に一番グッときたキャストは、Ra*bitsの紫之創役の櫻井圭登だ。

フレッシュな演技もさることながら、キャラクターとのリンク率が素晴らしかった。

ガラガラの客席を前にして、観に来てくれた先輩たちのためだけに踊り歌った『Joyful×Box*』のシーンで、何人の観客が涙しただろう。

実は筆者も密かに涙ぐんだ。

全力で歌い踊る“アイドル”を完璧に見せつけられ、櫻井圭登ごと“しののん”を推したくなる。

”しののん”こと紫之創役の櫻井圭登。客席を涙の海に溺れさせた名演をぜひチェックしてほしい。

そして、これが『あんステ』の恐ろしいところだと筆者は思うのだ。

キャラクターを応援しているつもりで、いつの間にかキャストにも感情移入している。

登場人物ががんばっているとき、その裏にキャストのがんばりが隠れている。

その2重構造が、どんどん私たち客席をステージ上の世界へと引き込んでいく。

キャラクターを通してどんどんキャスト自身が好きになってきてしまうのだ。