アンドリュー・スタントン監督と、プロデューサーのリンジー・コリンズ 撮影:Kaori Suzuki

ピクサー・アニメーション・スタジオの新作映画『ファインディング・ドリー』が16日(土)から公開になる。本作は前作『ファインディング・ニモ』のキャラクターたちの新たな物語で、忘れんぼうのドリーが主人公だ。前作に続いて監督を務めたアンドリュー・スタントンは、長い時間をかけて、ドリーのための新たなドラマを紡ぎ、ピクサーが長年に渡って描き続けてきた“家族”のドラマにたどりついた。

その他の写真

前作は父親マーリンが愛する息子ニモを探す冒険が描かれた。だからタイトルは『ファインディング・ニモ(ニモを探して)』だった。そして新作ではドリーが家族を探す冒険が描かれる。しかしタイトルは『ファインディング・ドリーの両親』……ではなく『ファインディング・ドリー』だ。なぜ? ここに本作の最大のポイントがある。

前作の公開後、ピクサーのフィルムメイカーの多くが『…ニモ』に続編があるとは考えていなかった。しかし、スタントン監督は『…ニモ』3D版の作業をする過程でドリーのことを再発見し、何でもすぐに忘れてしまい、周囲に謝ってばかりいるドリーに「自分自身のことを好きになってほしかった」と振り返る。「最終的に僕が見つけたテーマは“他のみんなとは違っても、世界は君を受け入れてくれるよ”というものだ。短所は実は長所なんだ」

さらに本作は、これまでピクサーが描いてきた“家族”に関するドラマでもある。彼らは様々な舞台やキャラクターを扱いながら、様々な角度で繰り返し“家族”の物語を描き続けている。スタントン監督はその理由を「僕らはみんな家族を持っている。そして、僕らはみんな、お互い家族のように生きている」からだと説明する。「僕らはみんな、人々が結婚し、子供が出来て、子供たちが成長するのを見て来た。僕の子供たちはもう出て行った。他の人たちの子供が去って行ったり、成長するのを見てきた。それは、ここでの生活の一部だよ。だから、たとえそういうことをしないでおこうと思っている時でも、家族のことが、ストーリーの中に入り込んでくるんだ」

ピクサー作品は、人間が暮らしていく上で、自然に存在する“家族”の関係を描くことで、幅広い年齢の観客を魅了し、観客が年齢を重ね、経験を積むことで同じ作品の違うポイントに共感できるようなストーリーを描いてきた。それは『ファインディング・ドリー』も同様で、この夏、多くの観客の共感を集めるだろう。ちなみに、新作ではドリーが“血のつながった家族”を探して冒険する中で、もうひとつの家族を見つけるドラマも描かれている。

『ファインディング・ドリー』
7月16日(土) 全国ロードショー