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ロシア出身のクラウン(=道化師)、スラバ・ポルニンが創作・演出する体感型ファンタジーショー『スラバのスノーショー』が7月15日、大阪・森ノ宮ピロティホールで開幕した。1993年の初演以降30か国以上で500万人を動員してきた本作、日本には2014年の初来日以来2度目の上陸となる。

SLAVA'S SNOWSHOW スラバのスノーショー チケット情報

雪が積もり、月あかりがぼんやりと灯る薄暗い闇夜に、汽車の音が鳴り響く。どこか遠くの国へ迷い込んだかのような空間を作り込み、劇場へ足を踏み入れたときから観客をその世界へと引き込む。登場するクラウンたちは、セリフを一切発することなく、動きと表情だけで人間の喜怒哀楽を表現していく。哀しげに見せたと思えばコミカルに、ゾクッとさせたかと思えば愛嬌たっぷりに、場面ごとに緩急をつけながら観る者の感情を揺さぶり、楽しませてくれる。

また、舞台と客席の垣根を越えたパフォーマンスも、このショーの魅力のひとつ。いたずら大好きなクラウンたちが席の間を縫いながら、雪を投げたりバッグを盗んだり、時には雨を降らしたり…。客席からは驚きの悲鳴と共に笑い声が響きわたる。さらには、客席を蜘蛛の巣が覆いつくし、クライマックスでは、最後列まで届くほどの猛吹雪を巻き起こすなど、これまでに体験したことのないようなダイナミックな演出に圧倒される。大小のバルーンが客席に投入されるエンディングは、子どもはもちろん大人も大喜び。アトラクションのように体感して楽しめるエンタテインメント・ショーだ。

本公演を創作・演出しクラウンとしても出演するスラバ・ポルニンは「日本のお客さんは注意力があり、一つひとつ集中して私たちの演技を観てくださっているのが伝わってきます。バルーンが飛び交うシーンでは、誰が大人か子どもか分からないくらい喜んでくださって、感無量です」と、コメント。また、本公演のオフィシャル・サポーターの野沢直子は「絵本のような世界観で、すごくキレイで楽しかった。個人的には、ナナメの世界に生きる人たちがツボでした」と語り、家族で観劇していた月亭八光は「非現実的な空間を楽しませていただきました。休憩時間も楽しめる空間になっていて、後半になればなるほどすごい勢いで盛り上がりが加速する。日本の舞台鑑賞は座ったまま最後まで終わるのが、動きまわっても怒られへん(笑)。日本では考えられないショーやなと思いました」と、興奮していた。

大阪・森ノ宮ピロティーホールで7月26日(火)まで公演。東京公演はシアター1010(せんじゅ)にて、7月30日(土)から8月14日(日)まで上演される。

取材・文/黒石悦子