(画像左から)ラファウ・ブレハッチ、アンドレイ・ボレイコ

日本とポーランドの国交樹立100周年を記念する「ポーランド芸術祭2019 in Japan」の一環として、“現代最高のショパン弾き”と称されるラファウ・ブレハッチとワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団が来日。これに先立ち10月30日、駐日ポーランド共和国大使館にて記者会見が行われ、ブレハッチ、ワルシャワ・フィルの音楽監督であり指揮者のアンドレイ・ボレイコらが出席した。

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つい先日、同オーケストラの音楽監督に就任したばかりのボレイコにとって、この日本公演が初めての海外公演となるが、以前からたびたび来日しており「日本を愛しております。ワルシャワ・フィルを率いて来日できたことで気持ちが高まっています」とニッコリ。

ショパンのピアノ協奏曲第2番、第1番が演奏される予定だが「日本ほどショパンの音楽を幅広い人々が愛してくださっている国はないと思います。そのショパンの曲を、現在望みうる最高のショパン弾きであり、親友でもあるラファウと一緒に演奏できる喜びでいっぱいです。音楽という共通言語で民族の差を乗り越え、素晴らしい音楽を日本のみなさんにお届けしたい」と意気込みを語った。

「いま感じている思いを表す言葉は2つ。『喜び』と『期待』です」と語るブレハッチ。「2005年にショパン国際コンクールで優勝したときと同じオーケストラと演奏ができる喜び」に加えて「ボレイコ氏は、音楽の細かいニュアンスを大切にする厳しい指導を行なっており、それはピアノパートに留まらない、オーケストラとしてのショパン音楽の醸成につながっていると感じています」と期待を口にし「日本の皆さまとお会いできるのを楽しみにしています」と日本のファンの前での演奏を心待ちにしていた。

来年2020年は5年に1度のショパン国際コンクールの開催年であり、ワルシャワ・フィルがコンクール参加者と演奏することになるが、ボレイコは「ショパンのピアノ協奏曲は、実はオーケストラが響かせるパートはそれほど多くはありません。だからこそ難しいものと言えます。料理にたとえるなら、いろんな食材を使い料理するのは比較的簡単ですが、(ショパン・コンクールは)和食のように、食材がひとつかふたつに限られている状況です」と同コンクールならではの難しさを説く。

ブレハッチは日本のピアニストの印象を問われ「世代を問わずどのピアニストからもショパンへの愛を強く感じます」と語り、ボレイコも「日本では、ショパン音楽を単なる理論としてではなく、リアルな芸術として体現する世代が十分に育っていると思います」とうなずいていた。

会見最後、ブレハッチがショパンの「マズルカ作品24」を生で演奏。その魅惑的な音色に出席者たちは酔いしれていた。

ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の日本公演は福岡、富士、東京、堺、横浜で開催。ブレハッチは大阪、豊田、福岡、水戸、横須賀にてリサイタルを行う。

取材・文・撮影:黒豆直樹