こちらは1974年に発売されたヴァン・マッコイさんのディスコミュージック。曲の難易度もそれほど高くないため導入しやすい曲ですが、最初にはじめた学校は「1987年に甲子園に出場した智辯和歌山」というのが一般的です。

しかし、書籍『高校野球を100倍楽しむブラバン甲子園大研究』の著者・梅津有希子さんの調査によると、智辯和歌山よりも先にPL学園は以前からこの曲を採用していた様子。PL学園では、智辯和歌山よりも約10年も早い1978年に甲子園で初めて同曲を演奏しましたが、その後、オリジナル曲を重視することになり、演奏しなくなったと同書で紹介されています。


では、なぜ「アフリカン」は智辯和歌山が演奏しているという印象をもっているのでしょうか。それは、「かっせ、かっせ、智辯」という勢いあるかけ声と共に応援するスタイルが新鮮で特徴的だったため。

「かけ声を入れやすくするためにテンポを速めたり、トランペットパートや打楽器パートを強調するなどの編曲を行い演奏したところ、生徒や選手たちにも好評だったことから、初回と7回に演奏する定番曲となりました。強い野球部のおかげで何度も甲子園で演奏する機会があり、『智辯和歌山といえばアフリカン』と言われるようになったのだと思います」と、同校教頭で吹奏楽部初代顧問・吉本英治さんの言葉が、同書で紹介されています。

今年も、地方大会では多くの熱戦が繰り広げられており、会場の盛り上げに応援歌が花を添えていました。今年は名門校と言われる花巻東、大阪桐蔭、興南、敦賀気比などが既に敗退。また、智辯和歌山もまた和歌山県大会の準々決勝で姿を消してしまいました。残念ながら智辯和歌山の応援歌は聞くことができませんが、今年もまた多くの学校が「アフリカン」を演奏することでしょう。

また、部員12人のPL学園が最後の夏を迎えたり、一時逆転したものの雨天コールドのため敗退した浦添商など、様々なストーリーが生まれています。野球に詳しくなくても楽しめる。それが高校野球の魅力ではないでしょうか。8月に入ると代表校が出そろい、いよいよ夏の甲子園が本格的に開幕します。