映画に登場するキャラクターでいちばん好きなのはどの子?

Q4:本作の海洋生物はそれぞれの習性をちゃんと取り入れて描かれていますが、さかなクンがその習性をいちばんうまく利用しているなと思われた海洋生物はどれですか?

©2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

A4:タコのハンクさんですね。

最初、猫に擬態していたハンクが元の姿に戻ったときは斬新だなって思ったんですけど、鉢植えやいろいろな物に化けて、「海の忍者」と言われているタコちゃんの特徴を非常に巧みに表現されていたのでビックリしました。

海の中では驚くほどのカモフラージュ術を持っていますし、ハンクさんほどではないですが、実際のタコも海洋生物の中では地上で意外に長時間元気でいられる特徴があるんですよ。

©2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

Q5:ジンベエザメの女の子、デスティニーちゃんは泳ぐのが下手ですけど、泳ぐのが下手な魚なんているんですか?

A5:はい。魚も人と同じです。

人は「個人差」、魚の場合は「個体差」と言いますが、すごくしなやかに泳ぐお魚ちゃんもいれば、ドンくさいな~って思っちゃうぐらいヘナヘナ~とした泳ぎをする魚もいますし、食べ過ぎて戻しちゃう魚もけっこういます。

ジンベエザメちゃんも、個体差として身体の水玉の模様が一匹一匹違うことで知られています。

ですので、研究者の先生方がシンベエザメちゃんを見分けるときには、模様の配列とか大きさを見るんですけど、しなやかに泳ぐジンベエザメちゃんもいれば、穏やか~な子もいるし、かなり俊敏な動きをするジンベエザメちゃんもいます。

それこそ通常はプランクトンを食べている大人しい魚とされていますが、テレビのドキュメンタリーで大きな魚から身を守るためにジンベエザメちゃんのそばに集まってきたイワシちゃんの大群を、ジンベエザメちゃんが振り向きざまに大きな口を開けてガバッと全部食べちゃう映像を観たことがあって。

そのときはイワシちゃんは何を信じて生きていけばいいの? ジンベエザメちゃんにも裏切られて、可哀想って思いましたけど、そんな驚くべき俊敏さも持っているんです。

Q6:映画に登場するキャラクターでいちばん好きなのはどの子ですか?

A6:タコ好きですので、やっぱりハンクさんです。

彼が活躍するシーンでは「タコ、来た~! やった~!」と思って、嬉しかったですね(笑)。

7本足という設定のハンクさんは、ヤンチャな人間のお子さんにたぶん足を引きちぎられちゃったんだと思うんですけど、「子供はイヤだ~!」という彼の存在は、人間界と自然界との関わり合い方も象徴しています。

でも、人間が悪者扱いされているかと言うと、実はそうでもなくて。

水族館や海洋生物研究所の人間がケガをした海洋生物を保護したり、治療して海に戻すことなどもきちんと描かれているのがいいですね。

Q7:さかなクンがいちばん最初に好きになった海洋生物は?

A7:いま話したタコです!

小学2年のときに、日直の仕事を終えて自分の席に戻ったら、隣の席の友だちがノートから飛び出すぐらいの勢いの、迫力いっぱいのタコを描いていたんです。

しかも、当時の自分はタコという生き物をしっかりと認識していなかったので、こんなに目が鋭くて、足がいっぱいあって、煙のような真っ黒な墨をモクモク吹き出す生き物は一体何なんだ?ってすごい衝撃を受けまして。

それで、いても立ってもいられなかったので、放課後に学校の図書室でいろいろ調べて、ようやくそれがタコということが分かったんです。

と同時に、面白い! 本物を見たい! どこに行けば会えるんだろう? あっ、海にいるんだ、じゃあ、魚屋さんに行こう! と頭の中で次々に考えて、魚屋さんにランドセルを背負ったまま直行したんですね。

そしたら、タコが2000円ぐらいしていたから、タコってこんなに値段がタコいんだ、いや、高いんだ(笑)、さかなクンの貯金を全部はたいても買えないなと思って。

でも、お母さんに「タコを食べたい」って言ったら買ってくれるかもしれないと思って頼んだら、「たまにはタコもいいね」と言ってスーパーマーケットに連れて行ってくれたんです。

それで、お家に帰ってからそのイイダコをいろいろな角度から見て、吸盤の数を数えて、絵を描いて。

その日から、おでんにしてもらったり、バター焼きにしてもらったり、タコぶつにしてもらったり、1ヶ月ぐらいタコ生活が続きました(笑)。