人気シリーズ『制服至上』ついにファイナル。制服少女たちの「卒業式」

台湾出身の人気イラストレーター・蚩尤(しゆう)氏が手掛けた、制服イラスト集『制服至上3』。その出版を記念し、中野ブロードウェイのアートギャラリー「リトルハイ」にて個展が開かれている。

蚩尤個展 制服至上ファイナル-「制服至上3」出版記念-

ただのサブカルなイベントと見過ごすのは、ゼッタイ惜しい! 台湾アートの「王道」を行く展示会の模様をお伝えしよう。

懐かしいのに新鮮。台湾アーティストならではの世界観に、心奪われる人続出!

制服を好んで描くイラストレ―ターは多い。しかし、蚩尤氏が彼らと一線を画す点は、徹底した写実主義にある。実際のデザインに忠実な制服はもちろん、水田や建物も細やかに描き出される。

来場客は口を揃えて「どこか懐かしさも感じつつ、よく目をこらすと日本とは異質のものが存在していて、そこ惹かれてしまう」と答える。ノスタルジーと異国情緒が両立する、台湾ならではの独特な風景だ。

また、生き生きとした少女たちの表情も魅力の一つ。日本のマンガやアニメの影響を受けているかと思いきや、あまり大袈裟になりすぎないよう、マンガより実物を参考にしているそう。資料として、日本の女性誌も買うとのことだ。

下描きは鉛筆で描き、パソコンに取り込んでデジタルで着色する。一枚描くのに、早ければ24時間(12時間×2日間)。描いている途中にイマジネーションがわき、描き足しを繰り返して2ヵ月かかることもあるそう。一つ一つがただの「商品」ではなく、「作品」なのだ。

もう制服は“卒業”!? アーティスト・蚩尤氏に直撃

展覧会初日、サイン会のために来場された蚩尤氏。ご本人へインタビューを試みた。
(通訳:GAEA BOOKS季亞倫)

――『制服至上』を3作目まで続けてきて、心境の変化はありましたか。

「しばらく制服から解放される!」という喜びですね。制服至上1では台湾北部、2は南部、3は中部の制服を描いてきました。

全体を通して、取材の許可を得るのが大変だったんです。特に1を描くときは、まだ作品が何も作れていないので、どういう作品になるのかわからず、学校側の警戒心が強くて。2冊目を出してからは、そんなこともなくなりました。

―― 「3で卒業」と過去にも発言されていますが、もう続きはないのでしょうか?

今のところ、続編は無いと考えています。台湾は全部で509校あり、その中の160校をセレクションして出しました。これでほぼ「いい」と思うものは描き終えたと思っています。公立校は白いシャツに紺のスカートなど、似たようなものばかりですし。