アレクサンダー・スカルスガルド

8頭身どころか9頭身以上ありそうな、縦長のシルエット。スウェーデン出身のアレクサンダー・スカルスガルドは、従来のターザンのイメージとは、かなり違う。そう思ったのは彼の父でベテラン俳優のステラン・スカルスガルドも同じ。息子から、『ターザン:REBORN』の主役に決まったという知らせを聞いた時は、まさかと笑ったそうだ。しかし、その次には、相当に興奮したと、アレクサンダーは振り返る。

『ターザン:REBORN』/その他の画像

「ターザンは、父の子供時代のアイドルなんだ。幼い頃、父は、毎週土曜日に近くの映画館に『ターザン』を見に行っていたんだよ。ジョニー・ワイズミラーの『ターザン』さ。僕も、父と一緒に家のカウチに座って、『ターザン』をビデオテープを見たものだ。だから、今作の場合、一番怖い批評家は父だね」

役を得られたことがあまりにもうれしくて「その時は、肉体作りが大変かどうかなんて、考えなかった」と笑う。実際、食事制限とトレーニングは非常に厳しかったが、アレクサンダーは、指導をきっちり守るだけでなく、たまになら許されたかもしれないことも、やらないで通した。

「外食は絶対だめというわけじゃなかったし、たまにならズルをしてもよかった。でも、僕はこの役に全力を注ぎ込みたかったんだよ。この映画のために8か月ロンドンで過ごしたが、サッカーを見に行ったのは一度だけ。トレーニングと撮影でとにかく疲れていたから、休みがあるなら寝たかった。父とも撮影中、2回ランチをしたけれど、実際のところ、父が食べるのを見ていただけだよ。僕は、栄養士が計算して作り、届けてくる食べ物を食べるだけ。トレーニングは、ウェイトリフティング、ピラテス、ヨガなどを組み合わせたものだった。ターザンがしなやかにジャングルの中を動き回れるように、柔軟性が求められたのさ」

この役のおかげで、フィットネスや栄養についてずいぶん詳しくなったかと聞くと、「そうでもない」のひとこと。「もともとそういうことに興味はなかったし、今も同じだね。言われることをやっただけさ。撮影が終わった時、ちょうど父が仕事でロンドンにいたので、僕はまっすぐ父の家に行って、その週末は父が作るものを思いきり食べた。モッツァレラのフライとか、スパゲティボロネーゼとか。そういうのは長い間食べていなかったから、天国にいる気分だったよ」

『ターザン:REBORN』
7月30日(土)全国ロードショー
取材・文:猿渡由紀