(画像左から)地代純、齊藤栄一 撮影:源賀津己

太鼓芸能集団「鼓童」が現在全国を巡演している「鼓童ワン・アース・ツアー2019『道』」が12月22日に東京・文京シビックホールにて最終公演を迎える。公演について、1982年より鼓童に所属する齊藤栄一と、メンバーとなって6年目の地代純に話を聞いた。

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ベルリン芸術祭にて1981年にデビューして以来、世界中でさまざまな公演を行っている鼓童。日本でも石川さゆりから初音ミクまで幅広いアーティストとのコラボや「FUJI ROCK FESTIVAL」への出演、坂東玉三郎との共演など多彩なステージで活躍している。その中でも今回上演される『道』は、前身の「佐渡の國鬼太鼓座」時代(1971~81)を含めた長い歴史の中で継承してきたものを中心に組み立てられたプログラム。齊藤は「鼓童が歩んできた歴史を『道』と言い換えているような内容です。受け継いできたものを自分たちの中で練り直し、若い人たちに渡し続ける作業を、舞台上で表現している」と語る。2015年の初演から4度目となる作品だが、「鼓童の長い“道”の今を切り取ったもの。だから去年と今年も内容は違います」

セットリストには、「佐渡の國鬼太鼓座」時代から受け継がれる『屋台囃子』、鼓童結成時に作られた『三宅』、今年の新曲『有頂天』まで並ぶ。齊藤が「僕は“鼓童クラシック”と呼んでいます」と言うようなテイストの楽曲揃いだが、それを今年初めて経験した地代は「“僕が観ていた鼓童の舞台”に立っている感じ」と明かした。「僕は2011年に研修所に入り2013年から舞台に立っているのですが、2012年に坂東玉三郎さんが芸術監督に入られたので、ずっと玉三郎さんのつくるステージに立たせてもらってきました。玉三郎さんのステージは僕らが想像もつかないようなアイデアが満載でしたが、そういう新たな体験を経ても『道』のような公演に戻ってこられるのが鼓童の強さ。こういう公演があるから、僕らはいろんな挑戦ができるのだと改めて感じています」

不変的な太鼓の魅力を真っ直ぐに伝えながらも、毎回、表現の新しさや広さに驚かされるのが鼓童のステージ。真逆のようなことがなぜできるのか。「『変化していこう』と思ってやっているわけではないのですが、伝統芸能って“伝統”になった時から衰退する。歌舞伎なども、常にその時その時の世のニーズを取り入れながら何百年と続いてきた世界だと思います。鼓童も当たり前に“今”に順応しながら続けていきたいです」(齊藤)

鼓童ワン・アース・ツアー2019『道』は12月18日(水)から22(日)まで東京・文京シビックホール 大ホールにて上演。

取材・文:中川實穂