事業企画部の國安淳史チームリーダー(右)とBCN記者・大蔵大輔

紆余曲折ありながらも2015年10月に発行し、16年1月から税金や社会保障との連携がスタートした「マイナンバー」。まだ利用機会が少なく実感はないが、今後“政から民”に徐々に浸透し、重要度が増すことが予想される。個人情報の一元化で利便性が向上する一方、問題視されているのは管理方法だ。

5月にロジテックが発売したHDD「LHD-ENU3BS/LHD-PBMU3BS」シリーズ(以下、「ロジテック暗号化HDD」)は、マイナンバー対策をメイン用途に掲げ、個人情報の徹底防御を進言する。マイナンバーの課題や今後の対処方法は?――ロジテック 事業企画部の國安淳史チームリーダーに聞いた。

中小企業のマイナンバー管理をサポート、導入しやすいツールを提供

:マイナンバー管理に特化したHDDを開発した理由を教えてください。

:近年、ロジテックはストレージメーカーとして「モノ売り」から「コト売り」へ転換し、ビジネスを成長させています。かつてはスペック重視で“どのようなモノを売るか”に重きを置いていましたが、現在は我々が持つ技術を活かし“お客様にどんないいコトをお届けするのか”を軸に製品を開発・販売するようになりました。ITが生活と一体化した技術になり、用途で製品を選択するお客様が増えたからです。今回、マイナンバーを簡単かつ厳重に管理する“コト”に注目したのも、こうした理念に基いています。

現在は、国が管理する情報や役所の手続きに利用するイメージが先行するマイナンバーですが、今後は人事や給与システムのマイナンバー導入も義務化されます。これは企業規模を問わず、大企業から中小企業までが対象です。

資金力のある大企業であれば、セキュリティの厳重なクラウドサービスを利用するパターンが多いようですが、中小企業ではそこまでのコストをかけることは難しい。自社で外部に情報が漏えいしないように用心して保存するしかないのです。ロジテック暗号化HDDは、ローコストで誰でも安心してマイナンバーが管理できることを目的に開発しました。

アメリカ政府で実績のある「自動暗号化技術&パスワード機能」を搭載

:通常のHDDと異なるポイントは何ですか?

:最大のポイントは、簡単かつ安全に強靭なセキュリティを施したHDDにデータ保管できるようにしたこと。そのためにデータの「自動暗号化&パスワード機能」を搭載していることです。まずは保存したデータを自動で強制的に暗号化、暗号化したデータにアクセスするためには設定したパスワードが必要になります。2重のセキュリティをかけることで外部への情報漏えいを徹底的に防ぎ、管理者以外の者がアクセスできない仕組みを構築しています。

大蔵:暗号化してもプロの復旧サービスを利用すれば、元のデータを解読されてしまいますよね。対策はありますか?

:暗号化技術にはアメリカ政府でも実績のあるハードウェア暗号化(AES256bit)を採用しています。一般的なHDDの暗号化より格段に複雑です。本体を分解してデータを抽出しようとしても、解読は非常に困難で、復旧サービスの技術をもってしても復元することはできないでしょう。現にロジテック直営の復旧サービスでも、解読することができませんでした。

:暗号自体が強力なんですね。復旧サービスでも復元できないレベルというのは驚きです!でも、セキュリティ性能が高い分、操作が難しくなりそうですね……。

:それが簡単なんです!操作方法は通常のHDDと変わりませんよ。暗号化は自動ですし、パスワード管理ツールは内蔵されており、インストール不要です。PCが苦手な人でも問題なく利用できます。データアクセス時に必要なパスワードさえ忘れなければ、あとはロジテックの暗号化HDDがお客様の大切なデータを保護します。

盗難・故障のリスクも軽減、ハードのセキュリティも万全

:盗難や故障も情報漏えいのリスクになりますが、物理的な対策はありますか?

:据え置きタイプのロジテック暗号化HDDは、背面にセキュリティスロットを搭載しています。市販のケンジントンロックを取り付けることができ、物理的に盗難を防止します。

持ち歩きを前提にしているポータブルタイプのロジテック暗号化HDDは、独自の二つの工夫で耐久性を高めています。まず、内部のHDD本体を保護する「肉厚ラバーフレーム」です。1mの高さから落としても衝撃を吸収する耐衝撃素材で、どの角度の落下にも耐えられるよう硬度を極限までチューニングしています。ドライブだけでなく、内部基盤やコネクタまで覆っているので動作不良も防ぐことができます。次に、肉厚ラバーフレームで本体を支える「フローティング構造」。密着する面積を最小限に抑えることで、外部の圧力が伝わりにくく、衝撃を大幅に軽減します。

:内蔵HDD自体の耐久性はいかがですか?

:外付けタイプもポータブルタイプも、内蔵HDDは信頼性の高いWD(ウエスタンデジタル)製です。それぞれ省電力で静音性にすぐれた「WD Blue」と、3年間の保証期間付きで、24時間の連続稼働にも耐える「WD Red」から選択することができます(ポータブルタイプの「WD Red」内蔵は1TBモデルのみ)。

マイナンバー以外にも用途は多数、業務上のデータも安全に保存を!

:マイナンバー以外にはどんな用途で役立ちますか?

:マイナンバーに限らず、外部に流出すると困るような重要データであればプロテクトの厳重なHDDに保存することをおすすめします。ポータブルタイプの例ですが、版権のある映像・音楽作品を外に持ち出す際に重宝いただいているお客様もいらっしゃいます。操作が簡単なので、データを確認してほしい相手への共有もスムーズです。

:企業に限らず、個人の業務利用でもメリットは大きそうですね。本日はありがとうございました。