「デジカメに親しんできた20代後半~30代前半の若いユーザーは、写真をパソコンに取り込むだけで、楽しみを完結させてしまう傾向にあります。データは何かのトラブルで失われる恐れがありますし、プロがプリントした写真を見る楽しさや、思い出を形に残しておくことの大切さという観点からも、フォトブックに注目が集まっているのでしょう」

同社のフォトブックサービスでは、超高画質な銀写真プリントと本格製本でハードカバーの写真集を作ることもできれば、スクエアタイプで気軽にまとめることもできる。風景写真に合わせてスタイリッシュに文字を刻むこともでき、子どもの成長の記録であれば、可愛らしいイラストをあしらった絵本風の作品に仕上げることも可能だ。どんなシーンで利用されているのか。

 「現状では、結婚式などのメモリアルな場面で記念に写真集を作る、という利用が多いです。一方で、文庫本サイズやスクエアタイプだと、日常を記録するツールとしての需要もあります。写真業界各社からなる『フォトブック普及協議会』の発表では、国内のフォトブック市場規模は'12年に95億円、440万冊に上ると予想されています。今後も写真プリントメーカーとして、様々な需要に応えながら、市場の拡大を目指したいと考えています」

旅行に出かけるたびに1冊、A5サイズのミニアルバムを作るのも楽しそうだ。デジタル化の末に、「もの」の温かさに気付かされることは多い。パソコンのフォルダではなく、現実の本棚が思い出のアルバムで溢れる時代が来るかもしれない。

はしかわ・よしひろ 1981年、神奈川県生まれ。編集プロダクションblueprint所属のライター、編集者。ビジネス・ネットサービス・グルメ・映画・音楽・コミック・ゲーム・スポーツなど、幅広い分野で取材・執筆を担当。構成を担当した書籍に『まな板の上の鯉、正論を吐く』(堀江貴文/洋泉社)、『伝説になった男~三沢光晴という人~』(徳光正行/幻冬舎)など。