家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」によると、2016年上半期(1月~6月)のデジタル家電全体の販売数量は、前年を下回ったものの、金額はかろうじて前年を上回り、4Kテレビなど、大きく伸びているジャンルもある。好調なジャンルの一つがドライブレコーダーだ。今回は、販売データ、BCNが実施した調査結果に加え、売り場の声をヒアリングし、ドライブレコーダーの最新動向を追った。

台数・金額とも右肩上がり プラス成長が続くドライブレコーダー

ドライブレコーダーの販売台数は、2016年1~2月は前年割れだったものの、3月からプラスに転換。直近の7月は前年同月比120.0%だった。販売金額は右肩上がりで順調に推移し、7月は前年同月比123.7%を記録した。

ドライブレコーダーは、クルマを購入したタイミングや、旅行などで長距離を走行する際に購入することが多く、これから迎えるお盆の帰省シーズンにあわせて売り場に足を運ぶ人は増えている。

購入のきっかけは事故・違反の証拠になるから

BCNは6月、職業運転手を除いたドライブレコーダーを利用している20歳から69歳の男女500名を対象に、「ドライブレコーダー利用者の意識調査」を実施した。

自分でドライブレコーダーを購入した人に対して、そのきっかけを聞いたところ、57.9%が「事故・違反の証拠として利用できると感じたから」と答え、39.5%が「ドライブレコーダーの映像を使ったニュースを見たから」、16.2%が「テレビ等でドライブレコーダーの特集を見たから」と回答。最近は、交通事故のニュースなどで、ドライブレコーダーで撮影した映像が取り上げられることもあり、消費者の意識が高まっているようだ。

ビックカメラ有楽町店 オーディオコーナーの藤原裕久主任は、ドライブレコーダーの販売動向について、「事故の記録を残すため、ジャイロセンサを搭載し、衝撃が発生した前後から記録するイベント記録機能が重要視されている。お客様の予算は昨年は1万円~1万円前半だったが、今年はイベント記録機能を備えた1万円台半ばから2万円弱のモデルが売れている」と話し、こうした変化が単価アップにつながっているという。

画質にこだわり、高付加価値モデルがトレンドに

イベント記録機能を搭載したモデルは数多くある。そのなかで、店頭で強く訴求しているのが夜間の撮影機能だ。藤原主任は「事故を起こしやすいのは夜。性能の低いモデルだと、周りが暗いなか、街灯の光が強すぎて周りが見えにくくなる。例えば、ケンウッドの『KNA-DR350』はHDR(ハイダイナミックレンジ)を搭載し、高度な画像合成技術で白飛びや黒つぶれを低減した見やすい映像を撮影できる」と説明する。

さらに、新たなニーズも高まっているといい、「運転中の動画をYouTubeなどにアップしたい、という若いお客様も増えている。そのため、高画質で滑らかな映像を撮影できるフレームレートが高いモデルも人気だ」と話す。

アクセサリやメモリカードとのセット提案も

ドライブレコーダーの提案時には、活用の幅を広げるセット提案にも力を入れていると藤原主任は話す。バッテリアダプタなどがあれば、駐車中の様子を撮影できるからだ。ドライブレコーダーは、路上荒らしなどの防犯対策としても注目されている。

また、ドライブレコーダーに挿入するSD/microSDカードもセットで提案しているという。前述の「ドライブレコーダー利用者の意識調査」では、ドライブレコーダーに挿入するメモリカードの容量は32GBが22.6%で最も高かった。「ドライブレコーダーに付属するメモリカードの容量は大体8GB。しかし、ドライブレコーダーは長時間録画し続けるので、容量は大きいほうがいい。3~4割のお客様はドライブレコーダーと一緒に大容量のメモリカードを購入されている」(藤原主任)と、巧みなトークで客単価アップにつなげている。(BCN・山下 彰子)

*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。

「ウレぴあ総研」更新情報が受け取れます