ミュージカル「(愛おしき)ボクの時代」

西川大貴作・演出のミュージカル『(愛おしき) ボクの時代』の1stプレビュー公演が11月15日(金)から上演される。その公開ゲネプロに潜入した。

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本作は、日本発のミュージカルをオフ・シアターから育てていくというプロジェクトで、2期に渡るプレビュー公演を経て、本公演が上演されるというもの。脚本・演出は俳優としても活躍する西川大貴、音楽は桑原あい、振付は加賀谷一肇という若き面々。スーパーバイジング・ディレクターとしてダレン・ヤップが参加している。出演者は風間由次郎ら17名。

開幕に先がけ西川は「いよいよプレビュー開幕です。1stプレビューは3,500円でご観劇いただけます。今回のトライアウトは、より良い作品を完成させるための第一歩。まだ「完成形」ではありません」「客席の皆様と一緒に作品を作り上げていくこのプロジェクト。その誕生の瞬間をぜひ目撃してください!」、桑原は「いつかこのミュージカルが大きくなった時、この作品が生まれた瞬間を見たと、変わっていく様子を見たと、何よりオリジナルキャストで見たと、多くの方にドヤ顔で語っていただきたいです」、加賀谷は「完成されたものを観て終わることが当たり前の日本で、客席でこの作品を育てる責任を買った皆様には、実感して頂けたら嬉しいです。何かが生まれて大きく育っていこうとしている素敵な時間に立ち会えていることを。愛を持って観て頂けますように。大きな一歩でありますように」とコメントを寄せた。

物語の舞台は令和元年、つまり“今”。主人公・戸越(風間)は無気力な毎日を送っている。そんな戸越はある日、仕事で伊豆に行くが、なぜか考えないサル、名のある武士、弱気なナマハゲと共に“天狗様”に会いに行くことになり――。設定はファンタジー、登場人物も個性的だが、よくよく見ると、それぞれがどこかで会ったことのある人ばかり。そんな彼らが仕事や恋愛、家族などに悩み、けれど友情や素直さを手に入れることで前を向き、一歩踏み出していくという姿を、現代を生きる西川の表現で描いている。

開演前に西川も「将来フルバンドでやることを想定して、今はピアノ1台でやっています」と話した通り、楽器はピアノのみ。衣裳も統一され、舞台セットもシンプルだ。その最低限ともいえるなかで、キャスト達の美しい歌やダンス、芝居が一気に世界を広げるというまさに舞台の醍醐味を味わえる作品。たくさんの意欲とエネルギーが詰まったプレビューと本公演、どちらも目撃してほしい。

1stプレビュー公演は11月18日(月)まで、2ndプレビュー公演は11月23日(土・祝)から26日(火)まで、本公演は11月30日(土)から12月15日(日)まで、すべて東京・DDD 青山クロスシアターにて上演。

取材・文:中川實穗