(画像左から)鈴木幸一氏、武藤敏郎氏、アンドレア・ツィーツシュマン氏、オラフ・マニンガー氏

11月、ズービン・メータとやってきて、相変わらずのスーパー・サウンドで日本のファンを圧倒していったベルリン・フィル。かねてより、2020年6月にも日本公演を行なうことが告知されていたが、今回の訪日中に、その「ベルリン・フィル in Tokyo 2020」の概要の発表会見が開かれた。(11月22日・東京文化会館)。

「ベルリン・フィル in Tokyo 2020」は、毎春の「東京・春・音楽祭」の特別公演。東京2020オリンピック・パラリンピックに向けた文化の祭典「東京2020 NIPPONフェスティバル」の共催プログラムとして実施される。東京のみ4公演の開催で、指揮はすべてグスターボ・ドゥダメル。開催趣旨を反映して、プログラムは「日独の友好と民族の多様性の象徴」というコンセプトで選ばれた。まず、6月24日(水)~26日(金)の東京文化会館での3公演。

6月24日(水)は「東京2020大会のためのスペシャル・コンサート」と題して、ベートーヴェン、ラヴェル、ストラヴィンスキーから、ジョン・ウィリアムズ、メキシコのアルトゥロ・マルケス、日本の早坂文雄と、まさに多様・多国籍。そして25日(木)はマーラーの交響曲第2番《復活》、26日(金)はベートーヴェンの《第九》と、「東京・春・音楽祭」でも主役の一翼を担う東京オペラシンガーズが活躍する合唱付きプログラムだ。

大きく注目されるのが、6月27日(土)に新宿御苑で行なわれる無料の「1万人の野外コンサート」だ。曲目は《第九》。ベートーヴェンの生誕250年に、緑豊かな広々とした庭園の特設ステージで、ドゥダメルとベルリン・フィルの《第九》が無料で聴けるスペクタクル!(ただし新宿御苑の入園料が別途必要)

出演合唱団は、世界各国から集まる約300人の「2020 One World Choir」。300人のうち100人はホール公演と同じ東京オペラシンガーズががっしりと固め、残りの200人を、ドイツ、スペイン、南アフリカ、オーストラリア、中国、そして日本など世界中のアマチュアによってあらかじめ組織される(公募ではない)特別編成合唱団だ。

心配なのは梅雨の東京の天候。荒天の場合は翌日に順延されるが、多少の雨なら、開催されるというから、それも一興かも。いずれにしても悪天候による中止の可能性はかなり抑えられそうだ。

応募方法は2020年3月上旬に特設サイトで発表される予定。定員は1万人だが、それはイス席の用意されたエリアの収容人数。周辺スペースでの「立ち聴き」はとくに制限しないというのはうれしい太っ腹。

ちなみに初夏のベルリン・フィル恒例のヴァルトビューネの野外コンサートは、この来日直前の6月20日(土)。あの興奮が東京でも!

取材・文:宮本明