やむを得ない事情がある場合、どう対応すべきか

私はシングルマザーです。温泉旅館に母、私の妹、私、 そして息子と行きます。男性は息子ただ一人。男子風呂に誰かが付き添えるわけではなく、かといって「 みんなで女湯に行きましょう」というわけにも行きません。

息子は今、高校生になり見た目は立派な男性です。でも頭の中はまだ幼児です。けれども、4年生のとき旅館側から注意を受けたので、それ以降、次のことをしました。

1. 家族風呂の貸し切りがある宿を選ぶ

8月にも千葉のホテルに行きましたが、 事前にホテルに電話をし、貸し切り風呂を予約しました。

2. 一人で公衆浴場を使う練習をする

温泉宿の狭い貸し切り家族風呂だけでなく、 広い大浴場も旅行の楽しみとして経験させたかったので、放課後デイサービス(=障害児の学童クラブ)の男性スタッフのヘルパーにお願いして、近所の銭湯で“身体を洗ってから浴槽に入る”“泳がない”“潜水艦のように潜らない”“ タオルを中に入れない”などのマナーを教えてもらいました。

それでも宿での一人男風呂デビューのときは心配で、 こんなものを付けさせました。

やむを得ない事情があれば、周囲の許しを得られるものなのか

東京都保険福祉局のサイトに、このような質問と回答があります。

「東京都の混浴禁止の規定は、なぜ10歳以上としたのですか?」
——子供の体位(性的発育度)、 親から独立してひとりで入浴できる年齢等の観点から10歳という 年齢を定めたものです。

東京都保険福祉局 よくある質問「公衆浴場Q&A

「障害者だから許してください」とそれに胡坐をかいてしまい、 堂々と女風呂に大きな子どもを連れて行くと周りの人に不快な思いをさせてしまいます。

日常的にも、周りに迷惑をかける障害者の家族はレストランで食事ができない、 飛行機に乗れない、 新幹線は使えないなど制限のある中で生活している現状があります 。

障害者という訳ではなく、 その他の事情の場合であってもそれと同じだと思うのです。

私の息子は、身体は大きくても脳は永遠の幼児なので、 若い女の先生に抱きつくなどして甘えることがあります。性的欲求はありません。でも、はたから見たら異常行為です。

学校の担任から「○○君(息子の名前)、もう身体は大きくなっているんだから、 女の人に抱き着くのは犯罪だよ。警察に連れていかれるよ」と注意されています。

このように、“見た目と心のアンバランス”のあるこれらの人たちが社会の中で生活していくとき、様々な困難にぶち当たります。

かといって訓練したからといって解決しないケースもあり、周囲の理解を求める事も難しい現状は残ります。

 

今回、問題とされた男児が、何の疑問も持たず女湯に入ってしまったのか、ただ見た目の成長の早い子だったのか、何らかの事情を抱えていたのか、それについては分かりません。
しかし、様々な目に見えない事情を抱えた人がいます。

それらの人に対しての配慮が広がることで、こういった不安や疑問が消えて行くのではないでしょうか。

最近は「ペットと一緒に入浴できる」 というサービスを考える温泉宿もあります。

ぜひ、 シングルマザーで父親に頼めない人や障害児をもつ家族にとっても憩いの場となるよう、「男の子と一緒に男湯に入ってくれる、昔の “三助さん”のようなヘルパー的男性スタッフ」 を温泉宿に置いてほしいと思います。
そうすれば、 もっと温泉を楽しめる人が絶対に増えると思うのです。

皆さんはどう思いますか?


※三助(さんすけ) とは江戸時代の頃からおかれた日本の銭湯における被用者の役職の 一つ。垢すりや髪すきなど利用客に対し直接的・ 間接的なサービスを提供する従業員。