左から 伊礼彼方、浦井健治 撮影:福井麻衣子 左から 伊礼彼方、浦井健治 撮影:福井麻衣子

連載開始から40年を迎える大人気少女漫画『王家の紋章』が世界で初めてミュージカル化、現在東京・帝国劇場で上演中だ。現代のアメリカと古代エジプトをまたにかけた、壮大な愛が描かれる歴史ロマン。この公演で主人公のエジプト王・メンフィスを演じている浦井健治と、ヒロイン・キャロルの兄ライアンを演じる伊礼彼方に話を聞いた。

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伊礼が「今回、俺は健ちゃんの主演だから、出演オファーを受けたんです」と明かす。その理由はさかのぼること6年前。ふたりはかつて若手ミュージカルスターの登竜門とも呼べる役、『エリザベート』のルドルフ皇太子役を同時期(2008年~2010年)に務めていた。その後6年間、ふたりの道が重なることはなく「同じ役をやっていたのに、今はまったくキャラが被らない(笑)。でもルドルフの頃「いつか一緒にやりたいね」って約束していたんです。しかも、彼は主演は何度もやっていますが、帝国劇場のセンターに立つというのは、特別ですから」(伊礼)。「ありがたいです。やっぱり帝国劇場は“聖地”なので、僕にとっても特別です」(浦井)。「だから、僕もその場には絶対に入りたいなって思っていました」(伊礼)。

果たして、ミュージカルの聖地・帝国劇場で待望の共演となった。浦井が「彼方は本当にまっすぐに生きているから、僕は絶対的に信頼しています。唯一無二の存在」と言えば、伊礼も「僕ら、演劇に対する志も似ている。方向性は違うんだけれど、目指しているところは一緒」と話す。その息の合いっぷりはまさに“同志”だ。ささいな思い出話に笑い転げながらも、「あの頃、某牛丼屋とか、某定食屋とか、いっぱい一緒に行ったよね。色々話をしたよね」(浦井)と、ちょっとしみじみもするふたり。

さて今回の作品は、原作は少女漫画であり、原作のセリフ等も忠実に再現されているのもみどころ。だがやる側としては、現実離れした言葉を口にする難しさはないかと訊いたところ「(リアルを)飛び越えちゃってるから、逆にやりやすい。普通だったらちょっと笑っちゃうかも、というようなセリフを話し、お客さまがそれを喜んでくれるというのはパフォーマーにとって最高」(浦井)、「ちょっとそれ、わかる(笑)。ああいうセリフを本気で言うのって、役者としてたまらないよね」(伊礼)と、こちらも同じポイントを楽しんでいるようだ。

そのミュージカル『王家の紋章』は、完売御礼の大盛り上がり。初日には早々に、来年の再演も発表された。「原作ファンの方にも、ミュージカルを好きな方にも、初めてミュージカルを観る方にも満足していただけるような再演を目指して、まず初演をやりきりたい」と意気込みを話した浦井。ちなみに聖地・帝国劇場の初主演に関しては「“帝劇には魔物がいる”とよく言われますが、僕にとってそこにいたのは、天使でした。みんなが見守ってくれていました」。幸せをかみ締め、作品は来年の再演へ続いていく。

公演は8月27日(土)まで、同劇場にて。来年の再演は4月に帝国劇場、5月に大阪での上演が発表されている。