『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』 (C)2015 Les Films 13 - Davis Films - JD Prod - France 2 Cinema

『男と女』『愛と哀しみのボレロ』などで知られる仏監督クロード・ルルーシュの新作『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』が今週末から公開になる。インドを舞台に、立場も境遇も異なる男女が偶然に出会ったことから始まるドラマで、ルルーシュ監督は「愛はこの映画の唯一のテーマだ」と力強く語る。

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10月にデジタルリマスター版で再公開される名作『男と女』や、冬季オリンピックの記録映画『白い恋人たち』、様々な家族のドラマを交錯させて描く『愛と哀しみのボレロ』など、ルルーシュ監督は多くの傑作を発表しており、彼の作品に出演したい俳優は多い。『ずっとあなたを愛してる』などで知られるエルザ・ジルベルスタインと、『アーティスト』でオスカーに輝いたジャン・デュジャルダンも、監督との仕事を熱望していたようだ。「私が別のプロジェクトをやっていた時、ふたりから電話をもらったんだ。ふたりはただ、私と仕事がしたいと思っていることを知らせたかったという。彼らとお互いに考えていることを話していくうちに、私好みのラブストーリーが浮かんできた」

そこでルルーシュ監督は急いで脚本を執筆。フランス大使の美しい妻アンナと、映画音楽の作曲家のアントワーヌがインドで偶然に出会い、共に旅を続けていく中で“恋の予感”がめばえていくドラマを描き出した。「愛はこの映画の唯一のテーマだ。私にとって愛とは、あらがうことのできない麻薬のようなものだ。私の作品や人生でも女性たちが重要な役割を担ってきたが、彼女たちのおかげで、今の私がある。これはいつも言っていることだが、成功した男というのは女たちが作っているんだ」。劇中のアンナとアントワーヌはお互いを知るために語り合い、時に駆け引きをしたり、迫ってくる相手をブロックしたり、逆に相手の心の奥底に入りこもうとする。「私はボクシングが好きだから、この映画を15ラウンドの試合のように作った。出会いというのは、すべて試合のようなものだ。むろん、穏やかで親しみがこもったものだけどね」

そんな男女の駆け引きを美しく彩っているのが、『男と女』でもタッグを組んだフランシス・レイが手がける音楽だ。「この映画では音楽も非常に重要な位置を占めている。映画音楽作曲家というアントワーヌのキャラクターを通して、本作では、幸運にも私が一緒に仕事をすることができた、すべての偉大な作曲家たちを称えている。この作品で喜びの再会を果たしたフランシス・レイはもとより、ミシェル・ルグランやクロード・ボリンもそうだ」

完成した映画について、ルルーシュ監督は「50年間の私の思いを盛り込んだ」と語る。「この年になって世界チャンピオン戦のリングに返り咲くことができるとは思っていなかった。だが自分のデビュー作のように、存分に楽しんで作ったことは確かだよ」

『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』
9月3日(土)より Bunkamura ル・シネマほかにてロードショー