【やついいちろう×松永天馬×成田大致】みんな狂ってる…!? 「夏の魔物10周年記念フェス主催者座談会」

主催者・成田大致(With 大内雷電)がリスペクトしてやまない人たちに会いに行く「夏の魔物10周年記念対談シリーズ」。今回はフェス主催者の視点からみた「音楽フェス」「夏の魔物」について語ってもらった。

「夏の魔物」に出演して…

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―アーバンギャルドは2012年に出演していますが、実際に出演してみていかがでしたか?

天馬:たぶん、この年からアイドルとか入れだしましたよね?

つまりこの年から成田君の志向がかなり広がったんだと思うんですけど。

普通のフェスだったら、アーティストのスペースがあって、お客さんとハッキリ分かれてるじゃないですか?

でも「夏の魔物」の場合全然分かれてなくて。お客さんと普通にビールを飲んでいるという、すごく謎の状況でしたね(笑)。

それで、その辺でうしじまいい肉さんがお客さんとチェキを撮っているという。もはやアーティストもジャンルレスなら、アーティストとお客さんの境目もなくなりつつあるようなイベントだなって。

でもそれを東京でやっちゃうと、色々問題が起きちゃうと思うんですけど、青森でやっているからある程度無礼講というか。事務所によってはそういうのを大目に見ているところもあるかもしれないし。

成田:2012年はリミッターを外した年というか。

いつも声優さんとか漫画家さんとかをゲストで呼んでも一組とかだったんですよ、でも2012年に会場を変えてステージ数もものすごく増やして、やりたかったことを一気に全部やろうと思ったんです。

―やついさんは昨年2015年に初出演されましたがどうでしたか。

やつい:僕はいつも1人で行くので、スタッフもゼロなんですよ。

だから青森の子に頼んで会場まで送ってもらったんです。

その子と話してたときに、「夏の魔物」が青森の若者にとっていかに良いフェスになっているかということがよくわかりました。

僕らが外から見ている分にはめちゃくちゃなフェスだなっていうイメージがあったんだけど、青森に住んでいる子たちはすごく楽しみにしていて。「なくなったらやだな」って言っていて。

天馬:確かに、「夏の魔物」に出ているミュージシャンって、もちろん大御所の方もいらっしゃいますけど、基本的に青森にワンマンで来れない人たちが圧倒的に多いですよ。

青森の学校のクラスに1人とか2人とか「じつはこれ知ってるんだけど、友達と共有できない」という子の好きな音楽ばっかりじゃないですか?

そういう普段友達とは「好き」を共有できないような青森の子たちにとっては、みんなEXILEを聴いている中で自分だけ聴いているような音楽を集めて開催してくれているフェスっていうことで、ものすごく楽しみにしていると思うんですよ。

やつい:そうなんですよ、すごい熱いんですよ。ものすごく期待してるんだなって。地元に根ざしてるんだと思った。

僕が行った日は、裏で青森のテレビ局が主催の、それこそEXILE的な人たちがこぞって集まるフェスがあったんですよ、青森の駅前で。しかも無料。

天馬:ええ~!?これはぶつけてきたんですかね?

成田:いや、たまたまですね。放送局が毎年やっているやつです。

やつい:それの裏で、遠くの山でやってるこのイベントとの対比がすごくて。

でも「夏の魔物」もすごく盛り上がってたもんね。午前6:30のスタートの時点で結構人がいたし。

このフェスの異常さってなんだろうって。

天馬:異常ですよね。

やつい:市民権を得ているというか、これはこれで定着しているものだなって感じましたけどね、去年初めて出て。

魔物10th2016

―今年は10周年ですけど、どんなことを考えていますか?

成田:この会場に2012年に変わったときに、大失敗したんですよ。1200万以上赤字だったんです。

やつい:でも毎回、全部がそうじゃないんだね?

成田:確かに、蓄積したらものすごい、家が建つくらいの赤字にはなってるんですけど。

やつい:どこで家が建つかにもよるけどね?

一同:(爆笑)。

成田:でも年を重ねるごとに良くなっては来ているので。去年は家族と一緒にはもうやらないと決めたんですけど。私生活で色々ありまして……。

やつい:普通なのにね? 顔もかっこいいし、パッと見普通なのにさあ。だからやっぱりサイコ野郎なんだよ(笑)。

成田:ははははは!

天馬:そんな狂気を秘めているとは話しぶりからは見えないじゃないですか?でも狂ってますよ。

やつい:俺なんて、こう見えて堅実だから、絶対に成功することしかしないけど、成田君は堅実そうに見えて一番頭がおかしいというかさ。

天馬:なんでそんな破滅的な人なんだろう!?みたいな。

成田:どうしても情報の速度が青森と東京では違うじゃないですか?

俺は原体験として上京したことによって、ブッキングとかもよりソリッドなものとなっていったという感覚があるんですけど、家族には理解できなかったみたいで。それが蓄積してしまって。

でも去年、バンドも真ん中で歌ったりとか、フェスも親とやらないというのが初めてちゃんとできたというか。

やつい:去年はすごくバランスが良い感じだったよね。そう思いましたよ。お客さんも良い感じで入ってましたしね。だから、最初に青森に住んでいたときの「これだけのメンツなら人が絶対くるぜ」という感覚と、東京に来て間近で感じる集客力は全然違うじゃないですか?有名な人でもじつはそんなに東京で集客なかったりするし。

「俺が好きだから絶対入る」みたいに思っても。ネットの宣伝とかだと、人が集結しているところから写真撮ってるから。どんなバンドも満員に見えるんだけど、じつはガラッガラだったりするんですよね。

でも、成田君は本当の集客力を持った人がわかるようになったんじゃないですか?

「ああ、この人のお客さんはすごいな」とかいうことを、普通に現場の感じでわかるようになったから、ブッキングが変わってきたんだろうなって。

やっぱり、確実に入りそうな人を呼んでるもんね。どんな現場でも来るお客さんを持っている人とか。まあ、その結果火をつけられてるんだけど(笑)。

天馬:ファナティック(狂信的)になってしまってるから、みんな(笑)。

やつい:東京では押さえつけられていたものが解放されちゃってるから。

天馬:でも、今やついさんがおっしゃったことにヒントがある気がして。

今って結局YouTubeで無料で音楽が聴けるし、無料で音楽が落とせるし、Apple Musicで聴き放題だし、何をもってファンというのか、“ゼロ円ファン”みたいなものが増えていると思うんですよ。ゼロ円ファンも確かにファンだと思うんですけど、でもやっぱり実際に「夏の魔物」とかに来てくれるファンというのは、熱烈な狂信者であって。ぬるいファンを1000人作るよりも、狂信者を10人増やす方が今は重要な気がしますね。

やつい:そうですよね。狂信者で一発突き抜けたら、それからはメジャー展開していけばいいと思うんですよ。

天馬:そう思います。だからまずは狂信者作りで。

それでいうと、「夏の魔物」は狂信者が多い人たちを集めたラインナップなのかなと思います。

やつい:だから、ここからなんじゃないですか? 狂信的なイメージももうついてるし。

「夏の魔物」って、フェスとして有名じゃないですか?

まず有名にならないフェスがほとんどなのに。そこを突き抜けたということだから、ここからメジャー展開に変えていくという。そういう転換期なのかもしれないですよね。

より良いものにしていくか、より狂信的にしていくかというのは難しいところではありますけど。

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