同じ経験をしているのに、親の考え方によって、子どもの受け取り方は全然違う。雨が降ってもそれすら楽しめるか、外で遊べなくて損をしたと思うか、です。

なかなか難しいけれど、変えようと思ったら変えられる。それをやり始めたら、身の回りにあるすべての事象がプラスに変わりますよ。それによって、心にゆとりができるようになります。

本でも伝えていますが、家庭が大事というのはそういうことで、子どもにとって家庭の影響は大きいのです。

将来を決める、4歳〜9歳までの関わり方

――親として、子どもに「こうなってほしい」というところが多々ありますが…

箕浦:子どもの成長や気持ちは、目に見えるものだけではありません。「確実にこの子は成長してるんだ」と親が信じてあげることが必要です。

9歳までの子どもはオタマジャクシであり、カエルのように振る舞うことはできません。(※花まる学習会では、子どもたちが成長していく過程で特徴が大きく変わる様子を、オタマジャクシとカエルに例えて伝えています)

しかし、この4歳から9歳までのオタマジャクシの頃こそ、様々なことに挑戦し、生きる基礎力が育まれる。
ケンカやいやなことをはねのける経験もその一つです。

この時期に小さなケンカをしてたくさん仲直りをする経験をしておけば、大きくなってからも折り合いをつけることができるのです。

この時期、少しいやなことがあったときに、「やめてよ!」と言うことができたら、大人になってからもいやなことをはねのけ、イジメに発展させない術を身につけることができるのです。

だからこそ、この時期の周りの大人の対応や言葉はとても重要で、特にお父さんお母さんとの関わりが大切です。

私自身の経験ですが、長期休みも土日も花まる学習会の子どもたちを野外体験に連れて行っている関係上、休日は家にいないということがずっと続いていました。その分、休みがとれる日には、近場の公園で娘たちと必ず遊んでいましたが、父親らしいことができていないのではないかという不安がありました。

子どもが中学生になったとき、父の日に手紙をくれました。そこには、「お父さんは、どんなに忙しいときも、たまにしかない休みは必ず遊んでくれたよね。私がいじめられたときも、仕事を休んでよりそってくれてありがとう」という感謝の言葉があったのです。

これは、4歳から9歳のときにどれだけ親が子どもに関われたか、ということへのひとつの結果だったと考えています。目に見えない部分でも、親への感謝、価値観といったものは幼児期の親との関わりのなかで子どもに伝わっているものが確かにあるのです。