思わず号泣してしまうのは前半にある笑いのおかげ!

――1作目がベストセラーになったとき、「泣ける絵本」として注目されましたね。

「読者の方からも『子どもと一緒にワンワン泣きました』という感想をたくさんいただきました。

けれど、このシリーズは決して悲しいだけの話じゃないんです。子どもたちに読み聞かせをすると、むしろ前半は大笑いしてくれるんですよ」

――確かに、「オナラと いったら ママだもんね」「へっ へっ へが でる5びょうまえ!」など、思わず噴き出してしまうセリフも満載です。

「絵本ですから、やっぱりまず子どもたちに楽しんでもらわないと。いくら『これはいい絵本だから』と大人が言っても、面白くなければ子どもは絶対に読んでくれませんからね。

前半で思い切り笑って、この絵本の世界を楽しんでくれているからこそ、後半のママとの悲しいわかれがギャップになって、涙が止まらなくなるのではないでしょうか」

――あまりにも笑える箇所が多いので、「死を軽んじているのでは?」という批判もありましたが……。

「決して軽んじているわけではありません。ただ、“死”は特別なものじゃなく、誰にでも訪れる身近なものだと僕は思っています。

それは実家がキリスト教の教会で、父が牧師だったことも影響しているのかもしれません。1階が礼拝堂で、僕たち家族はその上の2階で暮らしていました。

子どもの頃から、教会で行われるお葬式をしょっちゅう見ていたので、僕にとって“死”はかなり身近なものだったんですね。

もうひとつ、この絵本では“死”という形にしていますけど、僕としては、『ママの死』=『子育て卒業』というつもりで描いています。

実は、主人公のかんたろうというのは、うちの息子の名前なんですよ。そして、おばけになってしまったママには僕自身の姿も重ねています。

僕は父親の立場ですけれど、『子どもが自分の元を離れて行くまでに、親として何を伝えておけばいいのだろうか?』と考えるのはママたちと同じです。

この絵本を読んで大いに笑ったり泣いたりしてもらいながら、子育て卒業までに自分が子どもに何を伝えて行くべきかを、一緒に考えてもらえればうれしいですね。

『ママがおばけになっちゃった!』という設定ですが、この絵本のテーマは子育てです。

出来ればかんたろうが大人になって結婚するまで、おばけのママがかんたろうを見守っていくようなシリーズものにしていけたらと思っています」