左から、美弥るりか、愛希れいか、トミー・チューン、珠城りょう 左から、美弥るりか、愛希れいか、トミー・チューン、珠城りょう

宝塚歌劇月組公演『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』の制作発表が9月8日、都内にて行われた。2017年の幕開けを飾るとともに、新トップスター・珠城りょうのお披露目公演でもある注目公演だ。

『グランドホテル』は1928年のベルリンにある超一流ホテルを舞台に、そこに行き交う人々の人間模様を描く群像劇。1989年トミー・チューンの演出・振付によりブロードウェイで初演され、トニー賞5部門を受賞した伝説の作品だ。宝塚歌劇団では1993年に涼風真世の退団公演として上演、好評を博した。繊細かつ大胆な演出と、美しい音楽・ダンスの数々に、今でも人気が高いこの作品が、24年ぶりによみがえる。

1993年公演もトミー・チューンと共同演出を手がけた岡田敬二は「当時、1年2か月の打ち合わせと3か月の稽古をし、公演をした。トミーさんのブロードウェイのスタッフと、我々宝塚のスタッフががっつり組んで作った公演で、宝塚歌劇団にとっても冒険だったし、大きなモーメントになった作品です。夢が叶って、再びトミーさんともう一度お仕事できることをとても嬉しく思います」と話す。併演のショー『カルーセル輪舞曲』を演出する稲葉太地も「『グランドホテル』は23年前、私も劇場で観て、とても大好きな作品。(ショーの演出家ではなく)『グランドホテル』の演出“助手”でいいです、と言ったくらい(笑)。宝塚の定番の“2本立て”という興行で、その作品の“後物”を務めさせていただくことを大変光栄に思っています」と語り、彼らの言葉から宝塚関係者にとって『グランドホテル』という作品がどれだけ大切なものかが伝わってくる。

この作品でトップお披露目となる珠城りょうは、入団9年目という近年まれなスピードでのトップ就任。「月組の主演男役としてご挨拶させていただくのは、本日が初めて」と語り、「『グランドホテル』という作品も、そして日本初のレヴュー『モン・パリ』誕生90周年を記念して作られる『カルーセル輪舞曲』も、とても大きな作品。自分に務まるのかと不安もありましたが、今日の制作発表に向けての稽古を進めるうちに、この作品に携わらせていただくことが、役者としてどれだけ幸せなんだろうという思いの方が強くなっていきました」と幸せをかみ締めている様子。「もっと磨いていかなくてはいけないところもありますし、もっと研究してより男役らしくなっていきたいと思いますが、自分に出来る精一杯の努力をして、今の私たちにしかできないふたつの作品に仕上げていきたい」と意気込みを語った。

会見では珠城のほか、トップ娘役・愛希れいか、月組男役・美弥るりかも出席、『グランドホテル』『カルーセル輪舞曲』の世界の一端を見せるパフォーマンスを披露した。また特別監修を務めるトミー・チューンも登壇。「宝塚でまたお仕事をさせていただけるとは思っていなかった。夢のようです」と、笑顔で語っていた。

公演は2017年1月1日(日)から30日(月)まで兵庫・宝塚大劇場、2月21日(火)から3月26日(日)まで東京宝塚劇場で上演される。