『Snowden』 Courtesy of TIFF

オリバー・ストーン監督、ジョセフ・ゴードン=レヴィット主演『Snowden』の記者会見が、現地時間10日にトロント映画祭にて行われた。

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アメリカ国家安全保障局(NSA)が、どんな手口で個人情報を収集しているかをメディアに告発したエドワード・スノーデンは、現在ロシアに亡命している。ストーンは、スノーデンの弁護士や、彼についての本の著者を通じてモスクワで本人との面会を、数回に渡って取り付けた。ゴードン=レヴィットを同行したこともある。「弁護士と著者は僕に対してとても親切で、いつも安全な場所で面会を設定してくれたよ。彼らはロシア政府の個人情報収集にも、非常に批判的だ。スノーデンを救ってくれるのは、ロシアしかなかった。ほかの国は、みんなアメリカを恐れたんだ」(ストーン)。

自分と年齢がふたつしか変わらないスノーデンに、ゴードン=レヴィットは、強い共感と敬意を抱いたという。「彼の父はアメリカ沿岸警備隊で働いていたし、彼自身もイラク戦争への派遣を志願して米軍に入隊している。それは、愛国心の証明。この映画で見せるのは、愛国心の別の側面だ。彼は、国がやっていることに疑問を投げかけるんだよ。愛国心があるからこそ、彼は、ああいう行動に出たのさ」(ゴードン=レヴィット)。

映画では、パソコンのカメラや携帯電話を通じて、知らない間に政府にプライバシーを侵害されている状況が描かれる。裏側を知り尽くしているスノーデンが、恋人リンジー・ミルズのパソコンのカメラの上にこっそりとバンドエイドを貼って彼女のプライバシーを守ろうとするシーンもあり、ミルズを演じたシェイリーン・ウッドリーは、「今では私もコンピュータのそばにバンドエイドを用意している」と認めた。

ストーンは「こんな時代が来ると想像することなく僕は育った」と昔を振り返る一方、ゴードン=レヴィットは、希望を見せる。「2013年頃から、テクノロジー会社はプライバシーの強化に力を入れている。シリコンバレーはスノーデンの味方だ。僕はそれをうれしく思う。10年後、どんな世の中になっているかは、僕らにかかっていると思うよ。政府の行動は批判すべき。一方で、批判できる自由がある国に住んでいるということも理解しないと。僕は諦めないよ」(ゴードン=レヴィット)。

取材・文・写真:猿渡由紀