「夏の魔物」は毎年欠かさずに開催して今年で11回目、10周年を迎えます。

MR.PAN:山を売ってやってるっていう…

コヤマ:都市伝説だよね、大致君の親類が山を売って開催されているフェスっていう。

成田:いや、“山”は売ってないです。

MR.PAN:山売ってないの?じゃあ、何を売ってるの?

成田:土地が無くなったんです。

コヤマ:ははははは!

MR.PAN:それはちゃんと言っておいた方が良いよ、「山じゃないよ土地だよ」って(笑)。

 ―初期に比べるとロックバンド以外の出演者も増えていますが、それはどう感じてますか?

 MR.PAN:それはね、出演者のジャンルがバラバラでも別に大丈夫というか。別に色んな人が来るし。

コヤマ:確かにね、やることは変わらないし。

MR.PAN:ただ、お客さんが来た時に全体的に「ごった煮で面白かった」ってなるか「こんなわけわからんの嫌や」ってなるかというところやと思うけどね。

コヤマ:でもさ、アイドルとロックバンドとか最近よくやってるじゃん。「夏の魔物」は結構そういうもののはしりなのかね?

成田:そうですね、昔他がやってないときからやってました。

コヤマ:そうだよね? しかも今だったらもうちょっと上手くやると思うんですよ。

でもバラバラのままドーンとやってるから、俺はそれが面白いなって思うんだよね。

例えば、コラボする場所があったりとか、「これとこれはこう繋がってるんだ」っていうのを説明したりするのってもっとあると思うんだけど、大致君が好きなまんまボーンって並べてるというかさ。

MR.PAN:それを毎年やってるのがすごいよね。普通こういう感じでやってたら、12年で心折れるけどね(笑)。意見としたら、「もうそんなフェスやめろ」とかいう声もあるかもしれないし、そういう中でまだやってるというのはすごいよね。

 SCOOBIE DOが立ち上げたレーベル「CHAMP RECORDS」は「夏の魔物」の第1回目と同じ年に立ち上げたんですよね。

 コヤマ:そうなんです。だから俺らが最初に出た夏フェスが「夏の魔物」なんだよね。

MR.PAN:まあね、最初独立したときはなんでも仕事請けたがるからね。

成田:いやいやいや(笑)!

MR.PAN:「とにかくなんでも!」

コヤマ:そうそうそう(笑)。「これは行くしかない」って。タイミングが良かったのもあったけど、だから俺たちにとっては「夏の魔物」良いイメージだったんだよね。

どんなに時間が押したりしても、「やりたいことやってる奴が好きなバンド呼んでやってんだからいいじゃん」っていうのが、当時の俺らの気持ちとシンクロするところはあったと思うんだよね。

成田大致君がどんな人かは全然、俺らにはわかっていなかったんだけど、その感じが良かったんだよなあ。

『夏の魔物』メジャー1stアルバムは、作詞・作曲もそうだけど、錚々たるメンツ

 ―成田さんがボーカルを務めているユニットの『夏の魔物』が97日にメジャー1stアルバムを発売しました。

 成田:フェスの「夏の魔物」と自分の音楽活動をリンクさせたのがこの『夏の魔物』なんです。毎年MCで出てもらっていたアントンさんがメンバーにいたり、アルバムには過去フェスに出てもらった方に参加してもらって作りました。

コヤマ:すごいよね、メンツが。

MR.PAN:作詞・作曲もそうだけど、錚々たるメンツだね。

コヤマ:『夏の魔物』でアルバムを出すのは初めてということ?

成田:そうです。そもそも俺がやりたかったことを初めてちゃんとやったのがこのアルバムなんですよ。

MR.PAN:(プロフィールを見ながら)「歌って・踊って・プロレスする!」って、「歌って・踊って」まではわかるんだけど、プロレスするんだね。俺、ライヴをちゃんと観たことないんだけど、どういう感じでやってるの?

大内:基本的にはメンバー全員で歌って踊って。曲によっては突然暴漢が現れたりするんです。でもアントーニオ本多さんがレスラーなので、曲間でもプロレスの試合が始まるんです。

俺は、ザ・ハイロウズだと思って全部やってるんですよ、なにごとも。

コヤマ:曲を聴くと今のアイドルっぽい感じの印象だったんだけど、元になっているものっていうのは?

成田:元になっているものですか?ザ・ハイロウズです。

コヤマ:…なるほどねー。

MR.PAN:いや、「なるほどねー」じゃないから。

コヤマ:いや、「なるほど狂ってるんだな」という(笑)。

一同:ははははは!

MR.PAN:ええっ?ハイロウズ!?

成田:俺は、ザ・ハイロウズだと思って全部やってるんですよ、なにごとも。

コヤマ:曲にしろ、ライヴにしろ?

成田:そうです、そうです。

MR.PAN:ハイロウズで思い出した。俺、ハイロウズの事務所の人から連絡があって、「MR.PAN君、「夏の魔物」出てるやんな?あれってどんな感じなん?」って言われて。「まあどんな感じって言われても行った人しかわからないというか…説明しがたいなあ」みたいな話をして。

コヤマ:まあね、秘境だからね。

MR.PAN:「誘いのFAXがすごく来るんだけど……返信先書いてないのよ」って。

成田:えっ!!!!!

一同:(爆笑)

コヤマ:おいおい(笑)!

MR.PAN:「最近、ずっと送ってくるから、もう半分嫌がらせになってて。どういう人がやってるの?」って言うから「そういう人がやってるんです」って。

コヤマ:「そういうフェスなんです」って?

MR.PAN:「ああ、そうなんや?」みたいな。

コヤマ:返信先を書いてればもしかして。じゃあ今度はクロマニヨンズに送ろう。

MR.PAN:でも、返信先書いたらダメよ。そこはこだわってもらわないと。

コヤマ:初志貫徹でね?「また来た!」って。

MR.PAN:「また返信先書いてない!」

コヤマ:面白いなあ。でもハイロウズに影響を受けて、なんだね。すべて。

成田:そうなんですけど、あまりそれが理解されなくて。そういう10代のときに影響を受けたロックだったり色々な感動したものとかを音楽で表現してミックスカルチャーみたいなものをやりたいと思ってるんです。

コヤマ:成田大致のフィルターを通すとこの形になるんだね?例えば俺らとかニートビーツはバンドだから、観る人からは「なるほど、古いロックから影響を受けてるんだ、ファンクが好きなんだな」ってなると思うんだけど、『夏の魔物』はもうちょっと成田君の気持ちの部分だよね。

MR.PAN:好きなものが全部入ってるよね。

コヤマ:全部入ってるんだけど、混ぜない感じなんだよね。

MR.PAN:好きなもの全部入れてるけど、全部具材が残ってるみたいな。

一同:ははははは!

コヤマ:「これとこれとこれが入ってるな」って(笑)。

MR.PAN:それが具材のまま出されてるみたいな。隠し味に何が入ってるのかな?とかじゃなくて。そういう感じがするよね。

成田:でも、MR.PANさんやコヤマさんみたいなロックンロールと自分は遠いなって悩んでたんですけど、ここに来てバンドスタイルでライヴをやることになって。西さんがギター、ウエノさんがベース、キーボードがハジメタルさんでドラムが森信行さんなんですけど、そのときにハイロウズ的なものがやりたいっていうのがやっと理解されるのかなって。

MR.PAN:「夏の魔物」をやってなかったらそういうメンツにはなってないやろうしね。それはなんか、功績があるよね。

コヤマ:なるほどね。じゃあ、1stアルバムでようやく第一歩ということじゃないですか。

成田:自分はうつみようこさんのボイトレに通っていて「成田くんはなんだかんだでロックがやりたいんでしょ?」といった感じのことをようこさんは言ってくれるんですけど、それが今年はやっとフェスもユニットも、自分が好きなものとして1本になって伝わっていけたらいいなと思っています。

コヤマ:今までは、とりあえずやってるんだけど、自分でやってることでは満足してない、やり切った感じが実はないっていうか、迷ったままやり続けてたんじゃないかな。でも今の話を聞いてると、今年は違う感動がありそうな気がするよね。このユニットで今まで生バンドでやったことはあるの?

成田:いや、916日のリキッドルームが初めてです。

コヤマ:俺らはバンドをやってるから思うけど、バンドでやるのっていいよね。

俺らは逆にオケで歌ってライヴをすることがないからその快感はわからないところはあるけど、バンドで生でやるときの無敵な感じっていうのはあるし、初めてアルバムを出して今年そういう感じになるっていうのは良いよね。

成田:はい、本当にそう思います。