『Jackie(原題)』 Courtesy of TIFF

ナタリー・ポートマンが、またもやオスカー候補にあがるか?『Jackie(原題)』を観た批評家やジャーナリストの間で、早くもそんな予測が飛び交っている。

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本作は、ファーストレディ、ジャクリーン・ケネディの伝記映画。だが、彼女の一生を追うものではなく、ケネディ暗殺事件の直後に焦点を当てる。目の前で愛する夫が射殺されるという究極のショックを体験し、深い悲しみに浸りながらも、何も知らない子供たちに説明したり、葬儀や公務に携わらなければならなかった。「それがどれほど辛いことなのか、想像するのは難しくなかった。ひどく残酷で打ちのめされるようなことを、彼女は公が見守る中、体験したの。状況を思い浮かべただけで、その心境にたどりつくことができたわ」と、ポートマンは振り返る。

今作のプロデューサーは、ポートマンが『ブラックスワン』で組んだダーレン・アロノフスキー。アロノフスキーは当初、私生活のパートナーだったレイチェル・ワイズを主演に据え、自分が監督をするつもりで、このプロジェクトを立ち上げた。しかし、カップルは破局を迎え、アロノフスキーは主演の話をポートマンに持ちかける。同時に彼は、監督の座を降り、プロデューサーにとどまることも決めて、ポートマンに相談しつつ、新しい監督を選んでいった。その結果、決まったのが、チリ出身のパブロ・ララインだ。アロノフスキーは昨年のベルリン映画祭で審査員を務め、パブロの『ザ・クラブ』を見て、彼だと思ったらしい。

映画の評判を見る限り、その判断は正しかったようだ。ポートマンも「パブロははっきりしたビジョンを持っていると同時に、俳優が即興をしたり、現場で何かを勝手に変えたりすることを許してくれる。彼との仕事は最高に楽しかった」と告白する。来年2月、彼らは共にオスカーのレッドカーペットを歩くだろうか。日本公開は来年。

取材・文・写真:猿渡由紀