『Brimstone(原題)』 Courtesy of TIFF

大学進学以来、スクリーンからややご無沙汰しているダコタ・ファニングが、2作品を引っ提げてトロント映画祭を訪れた。ひとつは、ユアン・マグレガーが監督デビューを果たす『American Pastoral(原題)』。もうひとつは、マーティン・クールホーヴェン監督の『Brimstone(原題)』だ。

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いずれも暗い役。とりわけ『Brimstone(原題)』は、女性に対する暴力を描く時代物のスリラーで、ダコタが演じるリズは、数々の信じられないような苦難をくぐり抜けていく。映画のはじめで彼女は、耳は聞こえるが口をきけない女性として登場。時間が逆戻りする形で話が展開する中、どうしてそうなったのかが次第にわかっていく。

「『Brimstone』は、これまでに読んだどんな脚本とも違っていた。こういう役には、めったにめぐり会えないものよ。今作と『American…』は立て続けに撮影したの。
『American…』にはずいぶん前から出演を約束していたけど、実現に時間がかかった。今作の方はすぐ実現して、これを半分撮影し、『American…』を撮ってすぐ残りの『Brimstone』を撮る、というスケジュールになったのよ。それでずいぶん長いこと、暗い役にどっぷり浸かることになった。それは平気。私は自分をプッシュしてくれるような作品が好きなの。そういう作品は、絶対ではないけれど、暗い作品であることが多いのよ」とダコタは話す。

久々のレッドカーペットも、純粋に楽しんでいるという。「あれも女優の仕事の一部よ。ファッションは自分という人間を見せる手段。映画には、いつも本来の自分ではない姿で出るでしょう? だから、私は本当はこういう姿です、と見せる機会があるのは楽しいことよ」。

すでに、その次の作品も撮り終えている。「学業と仕事の両立は、昔からやってきたこと。むしろ学校が終わってしまったら、時間ができすぎちゃって、どうすればいいかわからないかもね(笑)」。

取材・文・写真:猿渡由紀