主人公の少年時代の声を演じた松岡茉優

 映画『聲の形』の初日舞台あいさつが17日、東京都内で行われ、声優を務めた女優の松岡茉優、声優の入野自由、早見沙織、金子有希、石川由依、潘めぐみ、豊永利行、山田尚子監督が登壇した。

 本作は、大今良時氏の人気コミックをアニメーション映画化。ガキ大将だった小学6年生の石田将也は、聴覚障害を持つ転校生の少女、西宮硝子に無邪気な好奇心を持つ。だが、硝子に対して行ったある行為をきっかけに将也は周囲から孤立する。やがて5年の時を経て、高校生になった2人は再会するが…という物語。

 将也の小学生時代の声を務めた松岡は「少年時代の将也は硝子ちゃんに対して、目をふさぎたくなるような悲しいこともたくさんするんです。最初は私も、将也ってなんて嫌なやつなんだと思っていたのですが、監督が『私にとってはヒーローなんです』とおっしゃって。それって、どういうことだろうと考えてみたんです」と当初抱いた戸惑いを明かした。

 やがて松岡は「たとえ自分の苦手な人がいても、見方を変えれば、その人って、もしかしたらいい人かもしれなくて。(考え方が)一方通行になっているだけかもしれない」と思い直したそうで、「そんな象徴的なキャラクターを演じるに当たって、私はとことん小学生時代の石田将也を愛そうと決めました。そして今はすごく愛しています」と語り、笑顔を浮かべた。

 アフレコに際して、山田監督から「ハンバーグって感じの男の子で」とイメージを指示されたそうで、「ブースの中では『ハンバーグ』『ハンバーグ』って永遠に一人でやっていました」と再現して会場を盛り上げた。

 また、プロの声優に囲まれた松岡は「名だたる声優さんに囲まれておかしいんですよ。新人俳優がこんなところに…」と嘆きモードに。「私ここにいていいんですよね?」と不安げに問いかけ、松岡に“熱烈オファー”を送ったという山田監督にも「熱烈でいいんですよね?」と再確認。

 「ここに俳優がト、ト、トンと並んでいたらそんなこともないけど、ここに一人だけってなると。(観客の)皆さんが納得してくださるよう、強めに(起用理由の説明を)お願いします」と山田監督に要求し、会場の笑いを誘った。