この夏、国内主要メーカーの新製品が出揃い、PC売り場はウルトラブックで賑わいをみせている。ウルトラブックは2011年に登場したカテゴリで、ウルトラブックとほかのノートPCは何が違うのか、店頭に並んだ各社のスタイリッシュモデルのなかからどの機種を選んでいいのか、悩んでいる人も多いだろう。BCNはPC買い替え・買い増し検討者を対象にアンケート「ウルトラブック調査」を実施。いまユーザーの間で注目のウルトラブックを調べた。

●続々と増えるウルトラブック 選択肢が広がる

「ウルトラブック」は、CPUメーカーのインテルが提唱するモバイルノートPCの新しいカテゴリ。厚さ2cm以下という薄型・軽量ボディで携帯性を高めながら、インテルの超低電圧CPUなどによって高性能を実現している。また、休止状態からキーボード入力ができるまでの時間が約7秒以下と、起動が速い。思いついたときにすぐ使える機動性の高さも魅力だ。

2011年11月にASUSTeK Computer(ASUS)が「ASUS ZENBOOK」シリーズを発売したのを皮切りに、日本エイサーが「Aspire S3」シリーズ、東芝が「dynabook R631」、レノボが「IdeaPad U400」と、相次いで発売した。

2012年には、日本HPの「Folio 13-1000」、デルの「XPS 13」、オンキヨーの「DR6A-US31C7」「DR6A-US31C7B」、ユニットコムの「Lesance NB S3431/L」、富士通の「LIFEBOOK UHシリーズ」と続々と登場しており、ノートPC市場活性化の起爆剤になっている。

●人気のウルトラブックは? 購入候補第1位はデルの「XPS 13」

「ウルトラブック調査」によれば、4月末までに発売された数あるウルトラブックのなかで、購入検討者が選んだ購入候補となるモデルの1位はデルの「XPS 13」だった。

「XPS 13」はデル初のウルトラブック。11型クラスの筐体にディスプレイに強化ガラス「Corning Gorilla Glass」を採用した13.3型ワイドの液晶を搭載。本体はキズや指紋がつきにくいカーボンファイバーと、削り出しアルミ素材を使っている。

CPUには超低電圧のCore i5 2467M(1.6GHz)を採用し、4GBメモリと128GBのSSDを搭載する。OSはWindows 7 Home Premium。価格はオープンで、実勢価格は8万9980円前後だ。

2位は東芝の「dynabook R631/28E」。この春発売のモデルで、13.3型ワイド液晶を搭載しながら重さを約1.1kgに抑えた。CPUはCore i5-2467M(1.6GHz)で、4GBメモリと128GBのSSDを内蔵する。OSはWindows 7 Home Premium。価格はオープンで、実勢価格は14万円前後だ。

3位は、13.3型ワイド液晶と、超低電圧のCore i5を搭載した日本HPの「Folio13-1000」。アルミニウムとマグネシウムに包まれた堅牢なボディと、標準バッテリで約9時間駆動するタフさが魅力だ。メモリは4GBで128GBのSSDを搭載する。価格はオープンで、実勢価格は7万9800円前後。

4位は、国内第一号のウルトラブック、ASUSの「ZENBOOK UX21E UX21E-KX128」だった。ヘアライン加工を施したユニボディで、最薄部3mm、最厚部17mmというスリムサイズを実現。11.6型ワイド液晶を備え、重さは約1.1kg。CPUはCore i7で、4GBのメモリと128GBのSSDを搭載する。価格はオープンで、実勢価格は9万9800円前後。

5位は、実勢価格5万9980円のユニットコムの13.3型「Lesance NB S3431/L」だ。天板や底面などにロゴがないシンプルなデザイン。CPUはCore i5で、4GBのメモリと64GBのSSD、500GBのHDDを内蔵する。

●人気の理由は? 各モデルのユーザー評価をチェック

上位に上がったモデルは、どの点が評価されたのだろうか。「大きさ・サイズ」「デザイン」「価格」の三つの項目で5段階評価で聞いた。

ウルトラブックの特徴である薄さや素材、質感などの「デザイン」では、デルの「XPS 13」が「魅力がある」「やや魅力がある」を合わせて50.5%で1位。続いて東芝の「dynabook R631/28E」が同47.5%で2位、日本HPの「Folio13-1000」が同44.0%で3位だった。

性能やデザインがどれほど魅力的でも、価格が高いとなかなか手を出しにくい。「価格」では、6万円を切るユニットコムの「Lesance NB S3431/L」が同62.5%で1位。2位は9万円を切るデルの「XPS 13」で、同58.0%、3位は8万円を切る日本HPの「Folio13-1000」で同52.0%だった。

液晶サイズなどの「大きさ・サイズ」は、東芝の「dynabook R631/28E」が、同53.0%の支持を得て1位。2位はデルの「XPS 13」で同51.0%、3位はユニットコムの「Lesance NB S3431/L」で同48.0%だった。

スペックや価格を確認したうえでのユーザーの興味度合いでは、1位はデルの「XPS 13」で「興味がある」「やや興味がある」を合わせて61.0%の支持を得た。2位は東芝の「dynabook R631/28E」で同55.5%、3位は日本HPの「Folio13-1000」で同49.0%という結果だった。

ウルトラブックは15万円前後の高額商品だった。しかし、今年に入って10万円を切るモデルが出てきて、より購入しやすくなった。この夏、PCを買うなら、持ち運びができ、高性能なウルトラブックが狙い目だ。(BCN・山下彰子)