6年振りにリニューアルした「Classic」とコスパ重視の「Blue」

販売代理店のセールス・オンデマンドは9月27日、スウェーデンの空気清浄機「ブルーエア」の新製品として、スタンダードシリーズ「Blueair Classic」のリニューアルモデルと、コストパフォーマンスを重視したキューブ型の新シリーズ「Blue by Blueair」を発表した。

本国では2016年8月で創立20周年を迎えたブルーエア。日本での展開はまだ6年だが、ハイグレードの空気清浄機ブランドとして認知度が高まっている。

ただ、市場動向としては、PM2.5が話題になった2013年をピークに、空気清浄機の販売数は微減しているという。第二事業本部の小野寺英幸本部長は「機能過多のモデルが急速に広まり、空気清浄機の本質である“空気をきれいにすること”の重要性が伝わっていないのではないか」と原因を分析する。

AHAM/JEMA規格を併記 他社製品と比較しやすく

ブルーエアは“clean air for everyone”のスローガンを掲げ、「清浄力特化」を謳っているゆえに、この課題を避けては通れない。解決の一手として、これまでAHAM(米国家電製品協会)規格のみで公表していた推奨フロア面積や清浄スピードの数値を、日本メーカーが多く採用するJEMA(日本電機工業会)規格でも発表することを決めた。

小野寺本部長は「同じ尺度でなければ、お客様が正しく比較するのは難しい。今回、ブルーエアとセールス・オンデマンドの意向が一致し、AHAMとJEMAの両方で数値を公表することになった。より明確にブルーエアの清浄力を伝えていきたい」とコメント。統一規格で他社製品と比較できるメリットは、ユーザーだけでなく、売り手にとっても大きいだろう。

清浄力が最大18%アップした「Classic」の新モデル

6年振りにリニューアルした「Classic」の新モデルは、独自のHEPASilentテクノロジーを踏襲しつつ、ファンの改良と吸引口・吹出口の設計を見直すことで、清浄力が最大18%アップ。操作パネルにカバーを設けることで、無駄のないシンプルな北欧デザインにも、さらに磨きをかけた。また、Wi-Fiに対応し、スマホアプリ「Blueair Friend」と連動して、空気の状態を可視化できるようになった。

機能面の最大の進化は、Wi-Fi対応と別売のエアーモニター「Blueair Aware」のセンサを内蔵したこと。室内の空気環境(PM2.5/VOC(揮発性有機化合物)/CO2/温度/湿度)をリアルタイムで観測し、空気の汚れ具合を測定。各パロメータの数値をタップすれば、6段階で分かりやすく汚れ度を通知するので、誰でも簡単に使いこなすことができる。

発表会のデモでは、密閉空間に「Blueair Classic」を設置し、煙を吸引する間の数値の変化をモニタリングした。煙発生時は各項目の数値が上昇したが、新モデルが起動すると、みるみる数値は元の値に戻っていった。

煙のように目に見える汚れであればわかりやすいが、日常の空気の汚れは視認することができない。「空気清浄機がきちんと機能しているか」の数値化は、客観的でわかりやすい。

スマホアプリ「Blueair Friend」は多機能で、空気環境の計測だけでなく、稼働時間のタイマー設定も可能。例えば、モニタリングしたデータのログをもとに、空気が汚れやすい時間帯を把握し、空気清浄機の稼働をスケジュール設定することができる。

屋外の空気環境を検索できる機能では、各地で観測した空気のデータ(PM2.5/PM10/VOC(揮発性有機化合物)/CO2/オゾン/二酸化酸素/一酸化酸素/二酸化窒素/二酸化硫黄)をスマホ画面に表示することが可能。例えば、家の外の空気の汚れ具合を、窓を開けて換気するかどうか判断する際の指標にできる。

「Classic」は「680i/480i/280i」の3モデルをラインアップ。公式オンラインストア価格は、税別で、適用床面積がAHAM規格で72m2(44畳)/JEMA規格で123m2(75畳)の「680i」が13万円、AHAM規格で40m2(24畳)/JEMA規格で55m2(33畳)の「480i」が9万円、AHAM規格で26m2(16畳)/JEMA規格で41m2(25畳)の「280i」が7万円。定評のある静音・省エネ設計・3年保証も従来モデルから継続している。発売時期は11月中旬。

価格を抑えたライト層向け新シリーズ「Blue by Blueair」

新シリーズ「Blue by Blueair」は、これまでターゲットにしていたプレミアム志向のユーザーから間口を広げ、より購入しやすい価格帯に設定。キューブ型の独特なフォルムの内部に直径30cmの大型ファンを搭載し、全方向に空気を効率よく循環させる機構を採用した。

特徴的なキューブ型のフォルムの理由は、デザイン性だけではない。直径30cmの大型プロペラファンを搭載することで、全方向から空気を吸引できるようになった。ファンの上部にある吹出口の穴のサイズは中央に近いほど小さくレイアウト。空気をパワフルに真上に排出することできるので、部屋全体に効率よく循環する仕組みだ。

フィルターも本体の形状に沿ってキューブ型で、四方にフィルターを配置する構造を採用。約4.4m2という見た目以上の吸着表面積を確保する。

インターフェースは中央のタッチセンサのみに限定。センサに触れるだけで、電源のON/OFFやスピードコントロールが可能だ。

適用床面積は、AHAM規格で50m2(30畳)/JEMA規格で78m2(47畳)。公式オンラインストア価格は、税別でダストフィルター搭載の「Pure 221 パーティクル」が5万4500円、脱臭機能付きフィルター搭載の「Pure 221 パーティクル&カーボン」が5万8500円。発売日は9月30日。

高価格のイメージが強いブルーエアだが、従来の「Classic」「Sense+」に、コスパを重視した「Blue」が加わり、選択肢の幅が広がった。新モデルは、日本市場でのさらなる飛躍につながりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)