濱田めぐみ、中川晃教  撮影:源 賀津己 濱田めぐみ、中川晃教  撮影:源 賀津己

2013年にオフ・ブロードウェイで大人気となり、韓国版もロングラン。この9月末にはウエストエンドで開幕と、世界各地で旋風を巻き起こしているロックミュージカル『マーダー・バラッド』が、待望の日本初演。そこで日本ミュージカル界屈指の歌声を誇る、中川晃教と濱田めぐみが念願の初顔合わせとなる。

『マーダー・バラッド』チケット情報

中川「劇団四季の『ウィキッド』で初めて濱田さんを観て、その圧倒的な存在感に驚きました。人の心を導く力が強く、役を生きている。いつか同じ板の上に立ちたいと、長らく楽しみにしてきました」

濱田「私もソニンちゃんから、日本のマイケル・ジャクソンがいると聞いて、それが中川さんでした。ピアノの弾き語り映像を観て脱帽し、舞台を拝見したら、中川さんが歌うと空間の色がそこだけ変わる。歌声が耳について離れず、ずっと気になる存在でした。普通の人間には出せない、もうひとつの感性を持っている。私はよく宇宙人と言われるけど、中川さんも同類でしょ?(笑)」

中川「僕もいつも宇宙人と言われるから、多分そう(笑)。今回は4人芝居で、40曲近くを90分歌いっぱなし。濱田さんとこの濃密な作品で共演できることに感謝です。物語はバーテンダーかつナレーターにより語られる。トムとサラは若かりし頃、熱い恋仲だったが別れてしまう。その後、サラは詩人マイケルと結婚し、幸せな家庭を築いた。しかしサラは平凡な日常に退屈し、バーの経営者となったトムと再会、再び恋の炎が燃え上がる」

濱田「私の役バーテンダーは、トムとサラ、マイケルの三角関係を狂言回しとして俯瞰で眺めつつ、彼らの関係性にも絡みます。その構成と立ち位置が面白い。4人で役を深められる分、予想外の化学変化が起きる予感がします」

中川「ナレーターの視点が、他の3人を操り、翻弄する。あるいは3人がナレーターを操っているとも解釈できる気が。僕が演じるトムは昔、俳優を目指していた男で、今はバーの経営者。かつての恋人サラに夢中になり、殺人事件へと発展してしまうわけですが。「美しい炎は引力がある、でも触ってはいけない」と歌うタイトル曲が象徴的」

濱田「曲は全てかっこいいですね。ロックにはミュージカル唱法では合わないから、勉強しなければ」

中川「確かに。でも橋本さとしさん、平野綾さんと、歌自慢の4人が集まっているから、声を合わせたら怖いものなし!(笑)見せ場は4人の丁々発止。きっとお客様は二度三度とこの世界に足を踏み入れたくなるはずです」

濱田「私はまず中川さんに歌ってもらって、それをカヴァーしよう」

中川「えー?! 僕も濱田さんからいっぱい盗もうと思ってますよ(笑)」

公演は11月3日(木・祝)から6日(日)まで兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、11月11日(金)から27日(日)まで東京・天王洲 銀河劇場にて。チケット発売中。

取材・文:三浦真紀