続く家電量販業界の再編 枠を越えた新しい動きも

2012.6.6 10:54配信

家電量販店業界の再編が続いている。最近では、ビックカメラによるコジマの買収が注目を集めた。業界トップのヤマダ電機は、住宅関連など異業種の買収を続けている。また、現時点で業界2位のエディオンも、業界の枠を超えたビジネスに着手した。買収や新規分野への参入など、業界での地位を確立する家電量販店の動きが活発になってきた。

●ビックカメラがコジマを買収 業界2位の売上規模に浮上

5月11日、ビックカメラがコジマの買収を発表した。コジマが6月26日に実施する第三者割当増資に伴って、ビックカメラがコジマの株50.06%を取得して子会社化する。ビックカメラの宮嶋宏幸社長は、今回の買収の目的を「スケールメリットの飛躍的拡大」としている。仕入れが多くなれば、メーカーとの値引き交渉で優位に立つことができ、店頭販売で他社との価格競争に勝つことができる。また、都市型店舗のビックカメラと郊外型店舗のコジマを融合した「新しい店舗形態を創造することができる」(コジマの寺崎悦男社長)という。

この発表が注目を集めているのは、現在業界5位のビックカメラグループが同じく業界6位のコジマを子会社化することによって、業界2位の規模に躍り出るからだ。現時点で業界2位のエディオンは、昨年度(12年3月期)が7590億円。一方、コジマは昨年度(12年3月期)が3703億円、ビックカメラは今年度(12年8月期)が5300億円の見込み。両社の売上高を合わせると9003億円で、エディオンと1500億円の差をつけることになる。

さらにビックカメラグループは、2015年度の連結業績で売上高1兆円規模を狙い、経常利率5.0%を目指すことを明らかにしている。2015年度までに、コジマの不採算店舗40~50店を閉鎖して、新たに戦略店舗約40店をオープンしていく計画で、コジマの寺崎社長は「ビックカメラの店舗レイアウトを学んで新しい郊外型店舗を創造していきたい」という。ビックカメラの宮嶋社長は、「お互いの人材交流を積極的に進め、デジタル機器に強いビックカメラと白物家電に強いコジマのノウハウを生かした総合的な販売を手がけていく」と、各店舗で人材の基盤整備を挙げている。またコスト削減策について、「商品仕入れの効率化や物流の統合など、コスト削減策を講じる」(ビックカメラの宮嶋社長)としている。

●ヤマダ電機は住宅事業を拡大 エディオンはリサイクルに参入

業界の枠を超えて規模を拡大しようとする動きも出ている。業界トップのヤマダ電機は、昨年10月に中堅ハウスメーカーのエス・バイ・エルを連結子会社化。今年5月には、住宅設備機器のハウステックホールディングスを買収すると発表した。6月中旬には全株式を取得する予定で、これら一連の買収によって、太陽光発電設備などを備えた省エネ住宅「スマートハウス」事業を次世代の中核事業に育て上げる。

ヤマダ電機の昨年度(12年3月期)の売上高は1兆8354億円で、これを早期に3兆円規模まで拡大して、家電量販市場でのシェア30%を目標に掲げている。「スマートハウスの取り組みは、目標の売上規模のプラスアルファ」(山田昇会長兼CEO)と、家電販売単独での目標達成を口にするものの、将来を見据え、業界の枠組みを超えることに成長のエンジンを見出している。

一方、エディオンは家電周辺でのビジネス領域を広げている。今年4月、家電リユース・リサイクル事業を手がけるイー・アール・ジャパンを設立。これまで愛知県を拠点にリユース事業を展開してきたが、子会社の設立によって今年6月にリユース事業の拠点を広島県に移設し、事業を本格化する。2年後には、リサイクル事業に参入することも計画している。さらに、ユニットコムがグッドウィルの株式を取得して子会社化する基本合意に達するなど、パソコン専門店の統合も進んでいる。

振り返れば、この5年、家電量販店業界にはM&Aの嵐が吹き荒れた。ヤマダ電機はマツヤデンキ、サトームセンなどを、エディオンは石丸電気を、ケーズデンキはデンコードーを、そしてビックカメラはベスト電器とソフマップをそれぞれの傘下に収めてきた。地上デジタル放送への完全移行という大きなイベントを終えた今、業界を取り巻く経営環境は厳しさを増している。都市型/郊外型、白モノ/デジタル家電/パソコンなど、各社の得意分野で緩やかに成立してきた棲み分けは、業界の統合が進むことによって、異業種をも巻き込んだ戦いにフィールドを移そうとしている。

※本記事は、ITビジネス情報紙「週刊BCN」2012年6月4日付 vol.1434より転載したものです。

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