みなさんは、産後うつや産後クライシスとは正反対の状態を指す産後ハイをご存知でしょうか?

疲れているはずなのに眠れなかったり、妙に気分が高揚して家事をがんばったり、毎日のように外出したり。また、会う人会う人に自分の出産体験談を自慢するなど、軽率な言動により周囲とトラブルになることもあるようです。

知らずにいつもと違う自分になってしまう産後ハイ。おもな原因は、産後の急激なホルモンバランスの変化による自律神経の乱れだといわれています。

一般的には出産直後から3ヶ月程度で落ち着くといわれていますが、人によっては1年以上続いたり、驚くべきことには産後ハイから産後うつになったりすることも! なかなか見過ごせない問題です。

産じょく期は安静でいるべきですが、まだまだ授乳の間隔も短く、まとまった睡眠をとりにくいもの。だからこそ休めるときに意識して休まないと、心身の疲労が想像以上にたまってしまいます。

さらに、骨盤が元の位置に戻ろうとしているこの時期に活発に動き回ると、骨盤が広がったままになり、尿漏れや腰痛、体型の崩れを引き起こすこともあるのです。

ここでは独自に行った「意外に多い!? 「産後ハイ」経験者はどのくらい?」のアンケート結果をもとに、産後ハイの実態や、当事者とその周囲のママたちの意識について考察していきます。

なんとママの8割が産後ハイを経験していた!

「『産後ハイ』を経験したことがありますか?」の問いに、「ある。はっきり自覚している」と回答したのは、なんと36.0%。3人に1人は産後ハイを感じていたのですね。

また、「いわれてみれば、思い当たることがいくつかある」(32.0%)、「たまにあったかもしれない」(12.0%)を含めると、産後ハイ経験者はじつに80.0%にものぼります。

出産直後に「これは産後ハイだ」と気づきながらも状況を改善できなかった人もいれば、いまになって「あのときのハイテンションは産後ハイだったんだ!」と目からウロコの人もいることでしょう。ちなみに「まったくなかった」という人はわずか12.0%にとどまりました。

一方、「むしろ産後うつ(クライシス)だった」という割合は8.0%と、約1割を占めています。

ということは、ほとんどの人が産後うつやクライシス、産後ハイのいずれかを経験しているということ。産後の精神状態をコントロールする難しさが、この調査によって鮮明になったのではないでしょうか。

「眠れない、動きたい、話したい」がトップ3

では、「産後ハイ」経験者は、具体的にどんな状態にあったのでしょうか。もっとも多かったのは「家事や買い物など、エネルギッシュに動き回った」(34.15%)という回答。僅差で「眠れないことが増えた」(31.71%)も続きます。

また、「出産武勇伝を誰かに話しまくった」も21.95%と、5人に1人の割合です。いずれの回答も、ベースには精神的に興奮状態であることがうかがえます。

そのほか「産後ハイの後、産後うつになってしまった」(12.2%)という人も1割強と、予想以上の高さです。睡眠を十分にとらず活発に動き回った結果、心身の疲労から産後うつを招いてしまうようです。

一方、「子どものいない友人に『まだ産まないの?』などと相手の気持ちを考えない発言をしてしまった」「子どもに変わった名前をつけてしまった、またはつけようとした」はともに0%でした。

このような言動は、後悔してもしきれませんよね。これから赤ちゃんに恵まれたときのために、産後ハイの特徴として反面教師的に覚えておくとよいかもしれません。

アドバイスする、我慢する……多くの人が寛容な対応

では、まわりに産後ハイ状態の友人や知り合いがいたら、みなさんどんな対応をするのでしょうか? アンケート結果は、全体的に当事者を思いやる回答が目立ちました。

トップは「『よく寝たほうがいいよ』などとアドバイスする」の48.15%。当事者に身近な立場であるほど、ママの健康的な毎日を願うのは当然のことですよね。2番目に多かったのが「一時的なものなので我慢する」(40.74%)でした。

そう、産後ハイは必ず終わりがやってきます。まわりに産後ハイのママがいても、批判的にならずに大きな心で見守ることも大切ではないでしょうか。

なかには「しばらく距離をおく、または縁を切る」(7.41%)、「自分や他人を不快にしていることがあれば、はっきり注意する」(3.7%)という厳しい回答も。

悪気がないとはいえ、産後ハイによる失言などで友人が離れていったり、叱られたりするのは、おたがいに気分のいいものではありませんよね。自分が「もしかしていま産後ハイ?」と疑問に思ったら、いつもより慎重な言動を心がけたほうがよさそうです。

産後のホルモンバランスの乱れは、すべてのママに起こることです。そのため産後ハイ、産後うつ、クライシスといった予期せぬ悩みも、半ば仕方のないことかもしれません。

ただ、こうした産後の変化に対処することはできます。自分が「いつもと少しちがうかな?」と感じたら、まずは親や姉妹、信頼できる友人に相談してみることです。出産経験者であれば、きっと親身になり、的確なアドバイスをしてくれるはずです。

また、産後ハイについてネットなどで情報収集することもおすすめです。産後ハイは、食事方法や軽い運動などで解消できることがわかっています。自分に無理のない方法から試してみてはいかがでしょうか。

産後ハイは、いずれ終わるもの。深刻に受け止めすぎず、自分をいたわりながら、生まれたばかりの赤ちゃんとの11日をゆったりと楽しんでくださいね。

 コピーライター/ライター。都内の広告事務所にてマス媒体を中心とした広告制作に携わった後、大手テレビ通販専門会社などを経てフリーに。現在は広告のほか、Webや紙媒体で子育て、教育、コスメ、グルメなどの情報を発信。男の子2人の母でもある。東京下町育ち。猫派。ビストロと大衆酒場が大好き。