社会福祉法では、目処として生活保護を受給する80世帯に1人(町村部では65世帯に1人)のケースワーカーを置くことになっています。しかし財政難に伴う人員増が困難なことや生活保護受給者の急増で、ケースワーカーの増員が追いついていません。直近のデータでは、受給者は約210万人、世帯数は約150万世帯となっています。すると単純計算で約1万9千人のケースワーカーが必要になってきます。多少ずれがありますが、平成21年度のケースワーカーの充足率は全国で94.2%(都市部で84.6%)となっています。ただ一律マイナスになっているわけではなく、充足率が150%を超える自治体もあれば、70%を割り込む自治体もあります。充足率が低い自治体では、受給者の自立復帰も少なく、新たな受給者の増加も多くなり、更に充足率が落ち込む悪循環となっていることも分かっています。同作品では佐古を訪れたケースワーカーが、同僚の女性に悩みを打ち明けるシーンがあります。そこで女性が希望を口にするのは、暗い雰囲気が漂うことの多い同作品でも、いくらか光明が差す場面になっています。

その後の佐古は、生活保護仲間との出会いから詐欺行為に走るなどして借金をすることになり、カウカウファイナンスの出番や、お馴染みの暴力沙汰に発展していきます。「生活保護くん」編のラストでは、心を入れ替えた佐古がなんとか立ち直り、自立へと進む様子が描かれています。同作品では暗い結末を迎えることも多いので、意外と言えば意外な結末。でもたまにはこんなラストも良いのかもしれません。もっともこの先どうなるかは分かりません。「先が見えない不安定」なのは、お笑い芸人だけに限ったことではなく、日本の経済状態を見れば、安定していると言われたサラリーマンや公務員でさえ、この先明るいものとは言えないでしょう。「生活保護くん」編を読みたい方は、発売中のコミックス24巻、7月30日発売予定の25巻をぜひご覧ください。もちろん1巻から23巻までもお勧めです。他のお金にまつわる展開も面白いものがありますので、機会があれば紹介したいと思います。

(C)2012真鍋昌平・小学館/「闇金ウシジマくん」製作委員会   拡大画像表示

また漫画を原作とした映画が、8月25日に全国公開予定です。
これは2010年に毎日放送で制作されたドラマの評判を受けてのもので、主演はドラマと同じく山田孝之。漫画から抜け出たような外見と、さもありなんと思われる言動に、役作りの努力が感じられます。共演者は崎本大海、片瀬那奈、やべきょうすけなどがドラマから引き続き登場。映画は原作の「出会いカフェくん」編と「ギャル汚くん」編を元にしたストーリーで、AKB48の大島優子が出会いカフェに通う女の子を、林遣都が懸命にのし上がろうとする青年を演じます。漫画のウシジマくんも迫力がありますが、山田演じる動いてしゃべるウシジマ君も見事なものです。漫画と合わせて楽しんでみてはいかがでしょうか。

投票受付中!

関連リサーチ
お金に困った時、あなたはどうする?[ http://ure.pia.co.jp/articles/-/6415 ]

あがた・せい 約10年の証券会社勤務を経て、フリーライターへ転身。金融・投資関連からエンタメ・サブカルチャーと様々に活動している。漫画は少年誌、青年誌を中心に幅広く読む中で、4コマ誌に大きく興味あり。大作や名作のみならず、機会があれば迷作・珍作も紹介していきたい。