鈴木英哉 写真:渡部伸拡大画像表示

ふたたびメインステージに戻って、ここからは“スタジアムバンド・Mr.Children”の本領発揮だ。「ROCK AND ROLL IS NOT DEAD」の文字がスクリーンに浮かぶ中オーディエンスに力強く呼びかけるように歌われる、最新アルバム『SENSE』収録の『ロックンロールは生きている』。’05年のアルバム『I●U』(※●はハート)収録の『Worlds End』では、アルバムジャケットの潰れたトマトを髣髴とさせる真っ赤な照明でドームが染まる。さらにイントロの必殺リフからすでに絶頂の『fanfare』では大合唱がドームいっぱいにこだまする。この尋常でないスケールのパフォーマンスも、紛れもなくMr.Childrenの“等身大”だ。

そして本編ラスト、『innocent world』の、あの聴きなれたイントロが目の前で鳴らされる。会場に放たれたタマゴ型の風船がポンポンと飛びはねる中、ほとんどアレンジすることなく、原曲に忠実に丁寧に歌う桜井。そして最後の大サビで客席にマイクを向けると、5万人の『innocent world』がドームにこだまする。桜井の歌声とバンドが鳴らす旋律は、<POPSAURUS>が産み落としたタマゴの群れを突き抜けて、聴き手の意識の彼方へ、記憶の彼方へと広がっていく。目の前が真っ白な光に塗りつぶされていくような感覚。数少ない本当のアンセムだけが誘うことのできる、無限にも一瞬にも思える抗いがたい快感に満ちた空間がそこにはあった。