北村匠海(左)と永野芽郁 (C)2019「君は月夜に光り輝く」製作委員会

 映画『君の膵臓をたべたい』(17)で浜辺美波とW主演し、みずみずしい演技で第41回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞した北村匠海。以降、話題作への出演が続き、20代を代表する俳優として躍進している。その姿から役者一本で勝負しているように思われているが、実はダンスロックバンド「DISH//」のメンバーでもある。

 そんな「DISH//」をはじめ、数々のユニットを要する芸能事務所「スターダストプロモーション」の若手アーティスト集団「EBiDAN(恵比寿学園男子部)」。今、同集団からミュージシャンと役者の二刀流で活躍する次世代スターが続々と誕生している。

 今年、永野芽郁とのW主演映画『君は月夜に光り輝く』で余命わずかなヒロインの夢をかなえようと奮闘する高校生役、山崎まさよしと共演したミステリー映画『影踏み』で泥棒と行動を共にする青年役を好演し、SFアニメーション映画『HELLO WORLD』では念願の声優デビューを果たした北村。ドラマでも不良高校生や同性愛者、CA訓練生など、さまざまな役柄に挑戦しているが、自称「ネクラ」な性格と物憂げな表情も相まって、クールで陰のあるキャラクターははまり役だ。

 その一方で、北村は、武道館ライブも行う人気ぶりの「DISH//」ではボーカルとギターを担当し、髪を振り乱しての熱いパフォーマンスは役者としてのイメージを覆す。楽曲は濱田岳主演のドラマシリーズ「釣りバカ日誌」、窪田正孝主演ドラマ「僕たちがやりました」、テレビアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」など多数の作品とタイアップし、ヒットしている。

 新垣結衣主演映画『くちびるに歌を』(15)で俳優デビューして以来、順調にキャリアを重ねている佐野勇斗。新垣主演映画『ミックス。』(17)、広瀬すず主演映画『ちはやふる -結び-』(18)、山﨑賢人主演映画『羊と鋼の森』(18)などメジャー作品に相次いで出演するほか、今年はロックバンドMONGOL800の名曲をベースにした主演映画『小さな恋のうた』でギターに初挑戦。初の主演舞台「里見八犬伝」では殺陣を学び、さらなる成長を遂げた。来年の東京オリンピックでは、出身地の愛知県で聖火ランナーを担うことも決定した。

 そんな佐野は、これまでにシングル10枚、アルバム2枚をリリースしている7人組のアイドルグループ「M!LK」に所属。キャッチコピーは“おちゃらけキュンキュン王子”で、映画イベントなどでは天然まじりの発言で場を和ませるが、ライブではファンをあおったり、激しいダンスを披露したり、男らしさものぞかせて「み!るきーず」(ファンの愛称)をキュンキュンさせている。

 女優・富田望生のブレークのきっかけともなった映画『ソロモンの偽証』(15)で準主役に抜てきされ、“謎の美少年”として注目を集めた板垣瑞生も同グループのメンバー、“夕焼けのはにかみ王子”だ。今年は4本の映画に出演し、恋愛映画『初恋ロスタイム』では初主演を果たした。さらに、映画公開も予定されているドラマ「貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-」では“国宝級イケメン”とも称されるビジュアルを武器にホスト役で出演中。勢いを増している。

 ドラマ「同期のサクラ」(19)で、高畑充希演じる主人公サクラが住むアパートの隣人カップルを大野いとと共に演じて注目を集めた草川拓弥。過去には大河ドラマ「天地人」(09)「平清盛」(12)などにも出演しており、役者としてのキャリアは長く、今年は映画『どすこい!すけひら』で知英演じるヒロインが恋するアイドル役をナチュラルに演じた。

 草川はダンサーをメイン、ボーカルをバックに据えた珍しい形態の6人組ユニット「超特急」のメンバー。それぞれに車両ナンバーが振り当てられており、草川は“4号車”、ダンサー“タクヤ”として活動。エンターテインメント性の高いパフォーマンスと“8号車”と呼ばれるファンとの参加型ライブが特徴で、ホールツアーは全国で10万人を動員する人気ぶり。最新ナンバー「Revival Love」は新木優子主演ドラマ「モトカレマニア」(19)の主題歌にタイアップされた。

 旬の若手役者がこぞって出演した学園ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(19)で、問題児だが切れ者の男子生徒を演じた古川毅は182センチの高身長イケメン。林遣都、広瀬すず、中川大志らを輩出した若手役者の登竜門とされる化粧品ブランド「シーブリーズ」のCMキャラクターも務めている。昨年、映画化もされたドラマ「兄友」で役者デビューしたばかりだが、期待値は高く、現在は恋愛ドラマ「ねぇ先生、知らないの?」で中性的なイケメン男子を好演中。来年は謎の青年役で出演する三吉彩花主演のホラー映画『犬鳴村』の公開が控えている。

 古川がメインボーカルを担当する9人組ダンス&ボーカルユニット「SUPER★DRAGON」はヘビーロックにラップやダンス、ヒューマンビートボックスを融合させたミクスチャースタイルが特徴で、年少組が「サンダードラゴン」、年長組が「ファイヤードラゴン」として活動することもある。とはいえ、年長の古川もまだ19歳。やんちゃな姿がファンのハートをくすぐっている。

 ハリウッドの巨匠スティーブン・スピルバーグ監督のSF映画『レディ・プレイヤー1』(18)の主要キャストに抜てきされたことで一躍有名になった森崎ウィン。日本語、英語、ミャンマー語が堪能なトリリンガルで、今年は映画『蜜蜂と遠雷』で天才ピアニスト役として圧巻の演技を披露して観客を魅了。ドラマ「本気のしるし」ではテレビ初主演を飾った。来年は大ヒットミュージカルの実写映画『キャッツ』が公開予定。日本語吹き替え版の中で得意の歌で勝負する。

 そして、森崎は7人組国際派ダンスボーカルユニット「PRIZMAX」でも楽曲の作詞・作曲を手掛けるなど、マルチな才能を光らせている。同ユニットはストリートライブで培ったパフォーマンス力を基盤に多様な音楽性を取り入れており、日本のみならず森崎の出身国・ミャンマーなど海外でも活躍している。

 かつては“ミュージシャン役者”はジャニーズの独擅場ともいえたが、近年はEXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEなどを要するLDHの羽振りがよく、二極化の様相を呈していた。そこに斬り込んできたスターダストのEBiDAN。各ユニットの一般的知名度は高いとは言えないが、メンバー一人一人が芝居の世界や得意ジャンルで活動の場を広げ、人気と実力をつけることでミュージシャンの顔にも注目が集まることは間違いない。その相乗効果でスターダムにのし上がることができるか…?三つどもえ戦の行方とともに、次世代スターたちの今後が楽しみだ。(錦怜那)