小松孝監督(左)と岩切一空監督

9月に東京で開催され、順次全国を巡回する第38回PFFぴあフィルムフェスティバルのコンペティション部門“PFFアワード”の入選作品が現在、映画配給会社ギャガが運営する動画配信サイト“青山シアター”でオンライン配信されている。ネットを介することで、これまで出会うことがなかった新たな観客との出会いが期待されているが、作品を手がけた監督たちは、この試みをどのように感じているのだろうか?

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“PFF(ぴあフィルムフェスティバル)”は、世界最大級の自主映画コンペ“PFFアワード”をメインプログラムに据えている映画祭。本年度は入選作20作品が上映され、映画プロデューサーの遠藤日登思、映画監督の沖田修一、荻上直子、編集者の佐渡島庸平、アーティスト/ミュージシャンの野田洋次郎が最終審査を行い、各賞が決定した。

『食卓』がグランプリに輝いた小松孝監督は、日ごろからVOD(ビデオ・オン・デマンド)をよく利用しているそうで「僕が作った作品は、映画館で観てくれたらベストだとは思いますが、そこまでこだわりはありません。ホームシアターがある方も多いでしょうし、それぞれの観やすい環境で見るのがベストだと思います」とコメント。青山シアターで自作が配信されていることについては「本当に便利だと思います。一般の観客はもちろんですが、作り手としては、どこかのプロデューサーや映画関係者も観てくれていたりしないかな、と期待を持つ事もできます」と映画がさらに広がっていくことに期待を寄せている。

また、準グランプリとジェムストーン賞(日活賞)、日本映画ペンクラブ賞を受賞した『花に嵐』の岩切一空監督は、VODを利用したのは「数回程度」だが、自作は「どこで観てもらっても大丈夫です」と語り「みなさんの見やすい環境、慣れた画面でしか見えない映画があると思います。是非、観てみて下さい」とコメントした。

これまで自主映画の多くは映画祭やイベントなどで上映されてきたが、動画配信が始まったことで、会場には足を運べなかった映画ファンも気軽に入選作を楽しみ、“日本映画界の未来”を支える才能を発見できるようになった。本年度の入選作品も配信開始時から多くの観客が観賞しており、今回の配信を機に、新たな観客との出会いや、それぞれの監督たちの次回作につながる流れができることが期待されている。

なお、本年度の入選作は青山シアターで10月23日(日)まで配信中。

第38回PFFぴあフィルムフェスティバル
10月29日(土)から11月4日(金) まで 京都シネマ
11月3日(木・祝)から6日(日) まで 神戸アートビレッジセンター
11月11日(金)から13日(日) まで 愛知芸術文化センター
2017年4月 福岡市総合図書館