次なるスネーク団「オーマイゴースト?」このころには「ひなた!ひなた!ひなひなひなた!」のコールも飛び交っていた会場。お客さんの反射神経はんぱない。しかしこの曲はもうまじで、ひなたの「りんぴょうとうしゃーかいじんれつざいぜーん」がくっそ可愛かった。くっそ可愛かった。

あとダンス合戦だから、みんな役になりきって一切笑わずにツンとして歌ってるんだけど、りななんとかなっちゃんとか自然と顔がニコニコしちゃってて可愛かった。相手グループを挑発する裕乃ちゃんの顔も相当可愛かった。

 

 

そして曲は鳴り止まないまま、トニーが登場。個人的にはこの場面、友情のためにトニーがダンスホールに駆けつけて、ジャックが喜びながら「遅いじゃないか!」ていう場面、理由はわからないけどめちゃくちゃグッときてしまった。その役に安本さんの姿が、「学校でイヤなことがあってもエビ中に来たら忘れられる」と発言していた安本さんの姿が、「お休みの日は両親が働いてて家にひとりでいるから、エビ中があったほうがたのしい」と発言していた安本さんの姿がダブってしまったんでしょうか。もっと言えば、エビ中に入った当時、ぁぃぁぃは人見知りで大人しかったけど、安本さんには「あやか~」て言って仲良く話をしてた、という話もどっかのMCで聞いたような気がします。そんなふたりの、役どころでない本当の友情のダブったんでしょうか。めちゃくちゃ感動して、そしてイントロが「もっと走れっ!!」になって、瑞季ちゃんパートの「夢はすぐそこにみえているけど」で歌が始まったときには「あ、これはあの美怜ちゃんのパートを安本さんが歌うに違いない。でなきゃこのミュージカルは嘘だ!」と勝手に思い込んでしまったほど。

あのパート、いつも200%の振り付けで一生懸命に長い手足を動かして生命を輝かせてる、がんばり屋で負けず嫌いの美怜ちゃんだから歌える重要なパートだと思うんですが、このミュージカルにおいて、歌えるのは安本さんしかいない。「エビ中のボーカロイド」と言われ、その機械的に狂いのない絶対的な音感が絶賛されている安本さん。でも最近ではその賞賛さえ脱ぎ捨て、表現力を身につけ生身の歌をうたい始めてる彼女。ともすれば、最初に言ったように壮大な内輪受けの茶番、それだけで終わりかねないこの舞台において(でもある程度の内輪受けって重要だと思います)、トニーという大事な役を背負って舞台に上がっている彼女の歌は、あらゆる大人の目論見やしがらみを飛び越えてまっすぐに強く響いてくる。そこに有無を言わせない美しさが生まれる。その姿に感動すると同時に、エビ中の凄さってそういうとこだよなぁって改めて痛感。彼女たちには、大人たちが名付けた「サブドル」という名前なんて、簡単に飛び越えて、喜びのなかで新たに生まれるしなやかな強さがある。もちろんエビ中のエビ中らしさは、校長だから生まれ得るものだし、わたしは、ど過保護でメンバーが喜ぶと思わず一緒にうるうるしちゃう校長のファンでもありますが、でもそんな校長の思惑すら飛び越えてっちゃうエビ中のポテンシャルが、やっぱりエビ中を見続ける醍醐味でもあるなぁと思います。でもって実際に安本さんが「臆病風さえも秋の空に溶ける/もう怖くないから」を歌ったときは、もうたまらない気持ちになって、本当にこのミュージカル見にきてよかったなぁと思いました。