『桜の園』会見より 三谷幸喜 『桜の園』会見より 三谷幸喜

三谷幸喜がロシアを代表する劇作家アントン・チェーホフの『桜の園』を演出する舞台が、東京・PARCO劇場で6月9日に初日を迎えた。前日の6月8日には公開舞台稽古が行われ、出演の浅丘ルリ子、藤井隆、青木さやかと三谷が会見に応じた。

三谷版「桜の園」チケット情報

『桜の園』は『かもめ』『ワーニャ伯父さん』『三人姉妹』と並ぶチェーホフ4大戯曲のひとつ。革命前夜のロシアを舞台に没落貴族の喜悲劇を描く。物語はパリで放蕩生活をしていた桜の園の女地主が資産を使い果たし、領地が競売にかけられるため帰国するところから始まる。

会見で三谷は「『桜の園』は読むと結構笑えるところがあるんですよ。実際、戯曲には“4幕の喜劇”と書かれていて、コメディとして作ってある。だからこそ、僕みたいな喜劇作家が本来のコメディとして作るべきなんじゃないかと思いました」と本作を手がけるに至った経緯を語った。三谷の演出について訊かれた出演者は「すっごくダメ出しが長いです。でも三谷さんがおっしゃったことが、こういう風に変わるんだ、としみじみ感じながらやらせていただいてます」(浅丘)、「僕が迷っていても許してくださって、その結果を採用してくださる器の大きい方です」(藤井)、「私が不安に思っていたりすると気付いてくれて凄いなと思います」(青木)、とそれぞれが三谷を絶賛。

今回のキャスティングについて訊かれた三谷は「新しいイメージでチェーホフをやりたかったので、なるべくチェーホフから遠いところにいる人を集めた」と話すと、浅丘が「本当はシェイクスピアやチェーホフは好きじゃないので、以前来た話はお断りしたことがあるんです。今回は三谷さんとならやってみようかしら」と引き受けた理由を明かした。また大学生役に挑戦する藤井に対し、報道陣から年齢的なギャップについて問われると「(劇中で)頭が禿げてるみたいな件もありまして、(僕も)ちょうど前頭部が禿げ上がってきたのでいいタイミングだな」と笑いを誘っていた。

稽古場ではキャストが浅丘の楽屋に集まり、皆でお茶を飲むなど仲のよさを青木がアピール。逆に三谷は「僕は距離を置いてました」と話し、「浅丘さんはおしとやかに見えますけど一方でべらんめえなところもあって、結構怖いんですよ」と暴露。これを受けて浅丘が「“てめえ馬鹿やろう、うるせえんだよ”とか、いろんな面を三谷さんにお見せしているんです」と自身が演じる女地主・ラネーフスカヤの役作りの一環(!?)だったと話していた。会見の最後に三谷は「この3人の中で一番笑いをとるのは浅丘さんだと思う」と浅丘のコメディエンヌぶりをぜひ見て欲しいとアピールしていた。

公演は7月8日(日)まで東京・PARCO劇場にて上演。その後、7月12日(木)から22日(日)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、7月25日(水)から29日(日)までKAAT 神奈川芸術劇場にて上演される。チケットは発売中。